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嫉妬4

 「はっ」  思わず声が出たのは俺の方だった。  あの人は必死でこらえている。  キツい。  慣れてないのがわかる。  熱い、あの人の中。  「・・・力抜いて・・・息吐いて」  あの人の耳元で囁く。  あの人が小さく首を振る。  力の抜き方分からないんだ。  分からないよね、そうだよね。    あんたに入ったのは俺か初めてだから。  その事実が俺の独占欲を満たした。  たまらなかった。  顔を覆って隠す腕を外して、あの人に宥めるようなキスをする。  身体の力か少し抜けて、俺はもう少し身体を進めることが出来た。  痛むのか、あの人は目をギュッと閉じている。   痛みだけではないと思うけど、初めての身体にはキツいだろう。      俺はあの人の乳首に唇を落とした。  あの人がここで感じるのはもう、知っている。  舐める。  あの人の身体が震えた。      甘く吸った。  吐息がこぼれ、身体が溶けた。  優しくそこを噛みながら、腰をすすめた。    「あっ・・・」  あの人が声をあげた。  俺のがあの人の中に全部入っていた。    「痛いよね」  俺は頬や額に優しくキスを落としながらささやいた。    「ゆっくりするから」  俺は俺の形にあの人の中が馴染むまで、必死でこらえて待つ。  ちなみに俺が初めてこの人にされた時は、俺は初心者なのに遠慮なくこの人に貪られたけどね。    でも、俺はこの人に優しくしたかった。  愛しい身体に触れたなら、快楽だけではない思いが溢れてしまう。  甘やかしたい。  優しくしたい。    そこで自分のを思うがまま捏ねたい思いを押し殺し、俺は優しいキスをあの人の頬や額や唇に落として、あの人が落ち着くのを待った。  腕の中の恋人は可愛かった。   暴力も、冷酷さもそこにはなくて、俺の腕の中で震える、俺の恋人しかここにはいなかった。    ゆっくり動いた。  まだキツいけど、気持ち良かった。  あの人の中だ。  あんたをやっとほんとに抱いてる。  俺はまた泣いてしまった。    あの人は喘ぐ。  好きなところをゆっくり擦ってあげたら、喉をそらせ、声にならない声をあげた。  可愛い。    もう顔を隠すのを忘れてる。  感じて緩みきって、理性の溶けた顔。  だらしなく開いた唇からのぞく、赤い舌がいやらしかった。  あの鬼畜なあの人からは想像つかないメスの顔。  だから、堪能した。  両手で頬を挟み込み、覗き込んだ。    見るだけでクる。  この人のこんな顔、見れるのは俺だけだ。  俺だけの顔。  ヤバい。  本当にヤバい。  俺は数字を数えて堪える。    ここを味わいたい、まだ出したくない。  出したら終わってしまうかもしれない。  いまだに必死で声を堪えるあの人が可哀想になる。  気持ち良さに抵抗しないで、身を任せて欲しかった。  「声、殺さないで。聞きたい」  俺はゆっくり揺すりながらささやいた。  「嫌だ・・・」  あの人が顔を歪める。  それもいやらしくて可愛い。  「リビングにスーツ達がいるから?」  俺は言ってみて思い出す。  そういえば。  そうだった。  「違う・・・お前が聞くから・・・」  あの人が呻く。  「俺に声聞かれるのが恥ずかしい?」  俺はたまらなくなってしまった。  羞恥するこの人なんて。  そんなの・・・。  可愛いすぎるだろ。  もう、止まらなくなってしまった。    「ごめん、もう限界」  俺は一応あやまった。  あの人の腰を掴んだ。  凶暴な気持ちになっていた。    挿れてみてわかった。  酷くしたい気持ちと優しくしたい気持ちは・・・同じ場所にある。  あの人が怯えたように俺を見たことも、俺の劣情をそそった。    「・・・あんた可愛いすぎて壊してしまいそうだ」  俺は自分の声が欲望で掠れるのを聞いた。  あの人の綺麗な目が俺を驚いたように見つめた。  潤んでて、ぼんやりしてて。  綺麗な、綺麗なあんた。  もう、ダメだった。    俺は完全に理性を手放した。    俺が知ってる気持ちいいことは全部してあげた。  中で揺らされながら、胸を弄られたらたまらなく気持ちいいこと。  ぎりぎりまで抜いて出し入れする、入り口付近の震えるような気持ち良さ。  前立腺を擦られる叫びたくなる快感。  そこから奥まで何度もスライドされたなら、射精が止まらなくなるあの感じ。  前でイくのと違うだろ?  あんたが俺の前をさわらないで、後ろでばかりイかせるから 俺、中でどうされたらいいのか、本当に良く知ってるんだ。    「・・・いいだろ?」  俺はあの人の耳を噛みながらささやいた。  「ああっ!!・・・はっ・・・ああっ!!」  この人はもう、声を殺さない。  慣れない快楽に、混乱しながら、乱れてくれる。  背中に立てられた爪も、かみつかれた肩の噛み傷も、愛しくて仕方ない。    いろんな角度で味わった。    この人はだらダラダラと止まらない射精に混乱している。  何回も、イかせてる。  俺はまだイってない。  終わるのが嫌だ。    これだけイケないとなんかもう、おかしな感覚が身体にたまって変になりそうだ    「もう、嫌だ・・・イけよ!!」  あの人が泣いた。    「俺が出したらあんた終わりにするだろ」  俺は呻いた。    気持ちいい。  出したい。   でも止めたくない。  「終わりにしなくていいから・・・僕の中に出して・・・!!」  殺し文句だった。    俺はあの人の中に放った。  我慢に我慢を重ねてたから、その瞬間大声で叫んでしまう程の快感に襲われた。    何、これ。  こんなのは知らない。  放ちながら俺は中でイった時みたいに震えた。  あの人の中が蠢き、俺を搾り取っていく。  背をさらせ、声をあげ、つま先までそらせたあの人の肉体はまるで俺から逃げるかのようにのに、  中は俺を離さないというように絡みつく。  「   !!」  俺の名前をあの人は叫んでくれた。  抱きしめた。    抱きしめた。  あんたは俺のだ。  俺はあんたのだ。  「愛してる」  俺は言った。     また動きながら。    「あっ・・・もう、やめ・・」  あの人が泣いた。  「終わりにしなくていいって言ったのはあんただ」  俺は囁いた。  止まれる気がしなかった。  「あんただけだ。もう二度と他の誰にも触らない」  俺は言った。  「・・・当たり前だ。お前のを挿れていいのも、お前に挿れていいのも僕だけだ、バカ!!」  あの人が泣きながら怒鳴った。  たまらなかった。  たまらなかった。  泣かせてしまったのがつらかった。  「お前は!!お前は!!僕のだ!!」  あの人か言った。  「うん。俺はあんたの。あんただけの」  俺は宥めるようにキスをしながら囁いた。  嬉しかった。  また、優しく揺らすように動くとあの人は喘ぎ始めた。    「ここにいっぱい出してあげる」  俺は囁いた。  「俺のは全部あんたのだから」  あの人は顔を歪めた。  「・・・そういう意味じゃない・・・やめ・・」    最後まで言わせなかった。   キスをして、激しく腰をぶつけて、あの人の理性をうばった。  止めろって言われたら止めなきゃいけないから。    俺はあの人に許可された通り、何度もそこで出して、こころゆくまであの人を味わったのだった。    

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