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ゲームの達人 7

 「愛は愛でも色々あるんだよ。わかんない?兄妹みたいなもんなんだよ」  オレは何故か嘘つきに言い訳させられていた。  あの子の前で裸でウロウロするのをやめさせようと服を着るように言った。  嘘つきは自分で服を着るのは拒否して、オレに服を着させたくせに、拗ねてオレと視線を合わせない。  そのくせものすごい力で手首を握って、隣りからオレを離そうとしない。  オレは、オレから顔をそらした男の隣りで、ベッドに座らさせられているいう状況だ。    「・・・その人カルト内で育って、教祖の命令で誰とでも、そう兄弟姉妹とも性行為させられてたから、その説明では理解できないと思うよ」  少年がかなり回復したらしく、眼を覚まし起き上がった。  腹から触手がちらほらはみ出ているけれど、穴は確かに小さくなっている。  すごい目で嘘つきを睨む。  立ち上がろうとする。  まだやるつもりか。  その身体で。    もはや呆れる。  嘘つきが一言少年に話しかけた。  青い言葉だ。    それが少年の目から吸い込まれる。  少年はぼんやりとする。  洗脳終了か。  早い。  あの子は少し落ち着いたらしく、ちょこんとソファに腰掛けて、傭兵が買ってきたジュースやお菓子を食べている。  傭兵はご機嫌な様子で、せっせとあの子の世話を焼いている。    ・・・コイツ本当に大丈夫なんだろうな。  本人曰わく、実害のない変態みたいだが、本人の言っていることなど当てにならなない。  監視しなければ。  オレは少年の言葉が気になった。   嘘つきがカルトに関係あるのは分かってた。  手口がカルトのそれだ。  教祖の命令で誰とでも?  ・・・カルトではよくある話だ。    狂った教祖の欲望が幼い子供達を貪る。  そうか。  コイツ。    おかしな倫理観。  性欲よりも上にある支配欲。  壊された子供。  カルトの子供だったんだなお前は。    親はまだいい。  自分で自分を捧げた。  自分の意志だ。  でも、そこに生まれた子供達は違う。  そこに生まれたその瞬間に選ぶことさえ許されない。  生まれなからに捧げられる。  生まれたその時から、教祖のおもちゃ。  従うことを余儀無くされ、それがおかしいと思うこともない。  当たり前に支配される。    カルトは子供を好む。  子供は無垢だから。  より深く支配出来るから。    救いを求め、カルトに自分を捧げた親は、求められたならば子供も捧げる。  喜んで捧げる。  自分が選んだ歪んだ世界に、子供を喜んで捧げる。  ドロドロとのたうつよどんだタールの中に子供を投げ入れる。  子供達はねっとりとした闇に沈んでいく。  それ以外の世界すら知らずに。    「考えるな」   「疑うな」     子供達は最初から自分で考える力さえ奪われる。  生まれながらの奴隷。  親から捧げられた、貢ぎ物。   お前はそんな闇から来たのか?    オレは嘘つきを見つめる。  清らかな聖人のような顔。  顔をそらしてオレを見ようとしない、でも強くオレを掴んで離さない子供じみた男。    泣きながら優しくオレを抱く可愛い男。  何一つ自分でしようとしない不器用で甘えた男。  恐ろしい男。  沢山の人間を殺し合わせていた男。  そこにあるのは悪意だ。  この男は悪意でできている。  ただ殺すのを楽しむだけならあんなことをする必要はないんだ。  あの捕食者が人を刻んで殺すのと同じだ。    単に殺すだけでは飽き足らないものをコイツも抱えている。    オレは嘘つきの首に腕を回した。  嘘つきは驚いたようにオレを見た。  オレより背の高い嘘つきに伸びあがるようにしてキスをした。  そっと触れるだけの優しいキスをした。  ・・・今決めた。  なんでだか分かんないけど今決めた。  そして少なくともコイツがオレに執着していることを信じることも決めた。  「ゲームをしよう」  オレは嘘つきに持ちかけた。  どうせお前には何もかもがゲームでしかないんだろ?  「オレと勝負だ」  オレは言った。         

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