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ゲームの達人 9
「オレとゲームをしよう」
オレは嘘つきに言った。
嘘つきは興味深そうにオレを見ている。
「オレの意志を今以上お前は縛らないのが条件だ。もうすでに、オレは自分ではお前から逃げられないし、お前がしようとしていることを直接的に邪魔することはできない。でも、オレはどうにかして、お前の邪魔をして、お前がこれから始めようとしている大量虐殺を止めさせる。そうすれば、オレの勝ちだ。そうなれば・・・」
オレは言葉を切った。
嘘つきは強い目でオレを見ている。
拒否する目だ。
どんな駆け引きでもオレを手放すことはないという意志がその目に見える。
そんな勝負などしないと。
オレは微笑んだ。
違うよ。
「お前は虐殺をきれいさっぱり諦めて、オレとあの土地へ行って二人きりで暮らす。人間のいない所で二人だけで」
オレは囁いた。
嘘つきは一瞬目を瞬かせた。
分かったか?
分かれよ。
殺したいだけ殺したなら、お前はオレを連れてそこへ行くと決めていたんだろ?
あの言葉は嘘じゃなかった。
オレの意志なんか関係なくそうするつもりだったんだろ。
お前が嘘じゃなく口に出来る真実は決定した事実だけだ。
オレの意志でお前と一緒にいてやるよ。
これは決めたことだ。
オレはお前を選んだ。
「どうせ止める気ないんだろ・・・でもな、オレがお前らに気付かれず邪魔をしてみせた時には諦めろ」
オレは言った。
嘘つきはオレを抱きしめた。
震えながら抱きしめた。
嗚咽が耳もとから聞こえた。
「そこまで嬉しいんだったら、止めてくれないかな、虐殺」
オレは頼んでみた。
嘘つきは、涙でオレのシャツを濡らしながら首振った。
ああ、そう。
それはそれ、これはこれらしい。
「オレはお前を止めるからな。止めたなら大人しくオレの言うとおりにするんだぞ」
オレは嘘つきに囁いた。
嘘つきは小さく何度も頷いた。
厄介なことに・・・かわいかった。
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