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渇望 3

嘘つきの身体を愛撫したことがないわけではない。    オレは抱かれるからって受け身なセックスばかりするわけではないからだ。  フェラするのも好きだし、乳首せめるのも好きだ。  でも、こんなに相手に身を委ねられたことはさすがになくて・・・。  しかも嘘つきはどこか怯えたようにオレの愛撫を受入れていた。  「そんな・・・固くなるなよ」  オレは凝った乳首を指で摘まみ、もう片方は舌で舐めながら言った。      嘘つきのそこの感触は唇に舌に指に楽しい。  嘘つきは喘ぐ。     歯を立ててやれば、嘘つきは声をあげた。   可愛い。     しかし反応が硬い。     堅すぎる。    こんなの初めてじゃないだろ。  オレは嘘つきの身体を散々味わってきたのだ。  コイツは感じやすい身体をもっていて、オレにしてくれるのと同じ位、コイツの身体を弄るのは楽しかった。  嘘つきはいつもオレがされることを嬉しそうに気持ち良さそうに受け入れ、そして、それ以上をオレにしてくれた。  でも、今は可哀想な位身体に力が入ってしまっている。  リラックスして楽しんで欲しかった。  気持ち良くなって欲しかった。  これじゃまるでお前、耐えてるみたいじゃないか。  後ろの穴に指をやる。  まだ撫でるだけ。  嘘つきの身体がさらに固くなった。  ・・・いや挿れるか挿れられるかだけの差でそんなに強張られても・・・。  オレは思い至った。  嘘つきには挿れられることは、単にセックスのポジションの問題ではない。  オレにはどっちをしたいかくらいの問題でしかなくても。  コイツに入ったことのある男は一人だけ。  コイツを支配していた男。  教祖。  コイツに入っていいのは、コイツを支配する男だけだった。  コイツには挿入すると言うことは、支配することと同じなのだ。  支配を嫌い、おそらく父親や信者を殺した男が今、オレに自分を支配させようとしている。  おそらく、最も嫌であろうことをオレにさせようとしている。  オレがしたいって言ったから。  ・・・オレが好きだから。  これ、どうすればいい。  そんなの分かってしまったら・・・もう堪らなくなるじゃないか。  オレは震える嘘つきを強く抱きしめてしまう。    可愛い。  可愛い。  嘘つきは急に抱きしめられて、ぽかんとした顔をした。  怖かっただろうに。      この穴を弄られて、はめられて、支配される。  昔みたいに。  そう思ってたんだろ。  「・・・あのな、ここにオレが入ったってお前なにも変わらないから。気持ち良さの種類が変わるだけだから・・・オレはお前を支配したりしないから」  オレは優しく囁いた。  嘘つきは身体をさらに固くする。    「お前を支配してた男とはオレは違う。オレはお前を気持ちよくしてやりたいんだ。」  オレは嘘つきに伝えたい。  オレはお前を傷つけない。  オレだけはお前を傷つけない。    思うように愛してはやれなくても。  お前と一緒にいてやる。  お前の最後まで。  それをどう伝えればいい。      「・・・オレは違う。オレは違うよ」   オレは嘘つきにそう繰り返した。  何度も口づけた。    その身体から力が抜けるまで。      嘘つきの名前を呼んでやりたかった。  だけどオレは嘘つきの名前を知らなかった。  未成年である嘘つきの名前は新聞などでは公表されることはなかったし、嘘つきに聞いても嘘つきは本当のことは答えられないからだ。  だから代わりに口づけた。  優しく、啄むようにキスをした。    「怖がらないでくれ・・・」  繋がりたかった。  それは初めてアイツて繋がった日にも似た衝動だった。    誰かと深く繋がりたいと言う想いだ。  あの時は気持ち良くなんてならなくても良かった。  ただ、自分の中にアイツを入れたかった。  異なる存在が繋がれるなら・・・アイツをその一瞬だけでも自分だけのものに出来ると思った。     そんなの意味はなかった。  どんな瞬間だってアイツはオレだけのモノではなかった。  でも、それはオレだってそうなんだ。    でも。  それでも。  「オレはお前を受け入れた。お前もオレを受入れて」  オレをお前の中に受け入れて。  オレがお前の中にいることを許して。    セックスに快楽以外の意味があるならこれしかないだろう。  存在を許す。  セックスは一人では出来ないから。    オレをお前の中にいれて?  単なるチンポの話じゃなくて。  欲しいとか欲しくないとかじゃなくて。  オレを受け入れて?  嘘つきがオレをキスの合間にオレを見つめた。  またコイツ、キスの時に目を閉じない。  まあ、今のオレもそうだけど。   オレはコイツの表情からすべてを見落としたくなくて。  だけどそれで良かった。  嘘つきの目にあるのは恐怖じゃなかった。  決意だった。  オレに挿れられる決意はしてただろう。  オレがしたがるから、目を閉じやりすごすつもりだったんだろ。    狂ったオヤジに支配され、イカされてた時みたいに。  快楽さえ、自分を切り刻むナイフに感じながら。  心を冷やしながら、喘いでたみたいに。  支配されたように見せかけて、その一番奥に自分を隠しながら。    コイツは今信じてくれた。  オレが入ってくることはそんなことではないって。  人が死ぬのを見る間も静かで清らかな光を湛えているイカレた目は今、震えたように瞬く。  怖がりながら、その腕がオレを抱く。  オレを受入れるために。  「・・・気持ち良くしてやるよ。単なる童貞じゃないからね、オレ。自他共にビッチを認めてんのは伊達じゃないんだぜ」  オレの言葉に嘘つきは呆れたように笑った。  実際呆れていたのかもしれない。  いや、でも、散々この身体で学んだ抱かれるセックスの気持ち良さをお前には教えてやりたい。  それならビッチだったことにも意味がありそうだ。    「まず、穴から舐めてやるから、脚開けよ」  オレは優しく言った。  嘘つきは不思議そうな顔をした。  オレは涼しい顔で脚を割り開いて脚の間に入った。  オレより嘘つきの方が背は高いが、コイツは細身だからな。  身長差程大変な感じはない  へそにの周りにキスをする。  嘘つきは戸惑うように喘ぐ。   オレは舌でへその周りを舐めた    へそに舌を入れそこで出し入れする。  まるで性器の先の穴を舐めるような執拗さで。  嘘つきの身体がはねた。  驚いている。  そんなところで感じることに。  薄い皮膚の下に内臓のあるそこは、舐め方しだいで感じる場所になる。  まあ、狂ったオヤジはコイツを抱いていたかもしれないが、所詮狂った宗教家だ。  自分本位のセックスしかしてないに決まってる。  本当にいやらしいことなんて・・・嘘つきは知らなかったに違いない。  オレは違う。  オレは童貞だけど、その辺の場数が違う。  「お前セックス上手いけど・・・まだ分かってないからな。教えてやるよ」  オレは嘘つきの身体を舐めながら下へ下へと移動していく。  オレのを入れる場所だ。  お前は穴を舐めたりはしたけど、舌をここに入れたりはしてない。  舐めるのだって・・・もっといやらしく、ここを舐めるだけでいかせて、  いかせてもさらに舐めて、  指さえ挿れてやらないで舐め続けたらどうなるかもお前はしらない。  足のつま先にキスしても、指の股を舐めて、指をフェラするように咥えて泣かされることもお前は知らない。  道具突っ込んだり、縛ったりするなんて可愛らしいことに思えるようなエロいこと教えてやるよ。  もちろん、中でどうされたら気持ちいいのかも教えてやる。  お前は清らかだよ。   オレに比べりゃ  脚を押し広げ、嘘つきの身体を折りたたみ、オレはその穴を舐めまわし、可愛がることにした。  挿れて欲しくて泣きじゃくるまで可愛がってやる。  でも、その前に。  「・・・可愛い。本当に可愛い」  オレは嘘つきを見つめ微笑みながら言った。  やはり拒否しようか悩んでいただろう嘘つきに拒否させないために優しい笑顔で。  嘘つきは断るタイミングを逃した。  「いい子だ」  オレは言った。  オレの舌は嘘つきのそこをぴちゃりと音を立ててなめ始めた。  「ひぁっ」  嘘つきは驚いたような声を出した。  それは想定の通りだった。  嘘つきはもうトロトロになっていた。  可哀想になる位に。  もう何度となく出させているけど、一度も直接性器に触れてやってはいなかった。    穴の襞の一つ一つを伸ばすように丁寧に舐めることからはじめて、何度も何度も舌で穴をつつき、また舐めることを繰り返した。  舌を固め、穴を差し込み、内側を舐め、唾液を注ぎこんだ。  穴の緊張が溶け、緩み、代わりに期待にひくつくのを堪能した。  それに、こんなところまで嘘つきは綺麗だった。  穴だけでなく、会陰まで舐め、刺激を送るように舌で叩いた。  嘘つきは身体をひくつかせた。  そんなところが感じるなんて知らなかったんだろ?  何人にその身体を弄らせたか知らないけれど、宗教と絡めたようなセックスなんてオレから言わせりゃ、ちょっとエッチなキスみたいなもんだよ。    ・・・お前の父親はお前を支配しただけだ。  お前に触った奴らはお前を使ってオナニーしただけだ。  そんなの大したことじゃないくらい抱いてやる。  深く舌を差し込んでとけはじめたそこを舐めた。    嘘つきの喉から悲鳴のような音がもれ、身体が引きつった。  オレの舌だけで嘘つきは射精した。  飛び散った精液は嘘つきの綺麗な顔にまで飛んだ。  腹はもう何度も出させられたそれでドロドロだ。  後で、オレのこのガチガチのヤツで腹の精液をこすって広げてやろう。  アイツの腹にオレのも出して混ぜてやろう。  セックスなんて知りませんみたいな綺麗な顔に精液がかかって、だらしなく唇をあけている姿はいやらしすぎた。    可愛い。   可愛いいな、お前。    「穴使うはひさしぶりだろ、ゆっくり可愛がってやるよ」  オレは自分の指をしゃぶり、ながら言った。  やっと舌から解放されるのかと、嘘つきはホッとしたようだった。  バカだね。  こっからもっとお前を虐めるんだよ。  だって可愛い。    可愛いから。  オレ、全然抱けるわ。  お前だったら抱くのホント、いい。  柔らかくほどけた穴にオレは指を二本差し入れた。  穴は柔らかくオレを受入れた。  挿れたい。  ここに挿れたらどんな感じなんだろ。  でもまだだ。  もっと泣かせて・・・オレを欲しがってからだ。   オレは穴をかき混ぜながら嘘つきのつま先咥えた。  嘘つきに教えてやりたいことはまだまだあった。   足の親指の先を甘く吸う。  そして吸いながら舐めた。  まるでフェラしているみたいに。  軽く歯を立ててこそげ取るように動かしてやりもした。  「・・・ふうっ・・・んっ」  嘘つきがフェラされてるみたいに喘ぐ。  その間も指はアイツの穴を可愛がったやっている。  「フェラされながら穴かき混ぜられるてるみたいだろ?・・・気持ちいいだろ?・・・なぁ?」  オレは指の股を舐めてやった。  嘘つきの身体がはねた。  また射精したのだ。  一度も触ってやってないのに、勃起したそこはダラダラと出つづけていて、萎える様子もない。    指をまとめ咥えて、口の中で舐めまわしてやった。  特に親指が感じる。   付け根を歯でかみ、舌で形を味わうように舐めてやる。  またビクンと身体がはねて、精液がこぼれる。      「可愛いい」  オレは心から言った。   穴にある凝りを指で優しくこすってやった。    「はあっ!!」   嘘つきが優しく触ってやっただけなのに悲鳴のように声を上げて、身体を震わせる。    イキっぱなしってか。          ヤバい。  ヤバい。   本当は、本当はもっと泣かせて・・・もっと欲しがらせてからのつもりだったけど、オレが無理だわ。  穴以外でもとことんイカせてやるつもりだったけど。  オレは指を引き抜き、咥えていた足の指も抜いた。    嘘つきは涙で濡れた目でオレを見た。  可愛いそうに。  ずっと泣いてる。  嘘つきだから、「挿れて」とかも言えなかったんたよな。  本当のこと言えないから。  「許して」も言えない。  「もう駄目」とも言えない。  止めてやるつもりもなかったけど。    「意地悪だったよな・・・ごめん。挿れるね」  オレは優しく囁いた。  オレはオレの可愛い男のそこに、オレのをあてがった。  そこは柔らかく蕩けて、オレを受け入れてくれるのは分かってた。  「お前としかしない。お前だけだ」  オレは言った。  本気だった。  お前だけだ。  お前が可愛い。  オレが選んだのはお前だ。  嘘つきは泣きながらオレに腕を伸ばしてくる。  抱きしめた。  そしてゆっくりその身体にオレは沈んでいった。  はじめて入る他人のソコは信じられない位気持ち良かった。  暖かくて、絡みつき、締め付けてくる。  オレは童貞らしく、気持ち良さに耐える。    ヤバい。  口でされんのとは全然違う。  ヤバい。  イキそ。  オレは嘘の顔に指を這わす。  可哀想にグズグズにされて、しゃくりあげている。    性器や前立腺など、直接的に感じるとこは外して、それでもイカされ続けていたのだ。  真綿で首を締めるようにイカされ続けて、柔らかく、もどかしく、終わらない快感はゼリーの中で溺れるように辛く甘いだろう。  自分から良いとこに当てようと腰を揺らしてくる。  その振動が気持ちいい。  綺麗な顔が涙と涎で汚れていた、でも、濡れた瞳の熱量と、求められすがられる腕の切なさにそれだけでイキそうになる。  可愛い。  可愛い可愛いと思ってたし、割と簡単に絆される方だけど。  コレ、可愛すぎだろ。  そしてわき上がるサディスティックな気持ち。  もっと泣かせてたい。  綺麗な顔が快楽に歪んで泣くのが、もう耐えられないと泣くのがたまらなかった。  「ははっ、ヤバい、コレ」  オレは歯を食いしばって、だしそうになるのを耐えた。  もっとヨクしてやる。  もっと泣かせてやる。    オレはゆっくりと腰をまわした。  どうすりゃ、気持ちいいかなんて。  オレが一番知っている。    嘘つきが言葉にならない声をあげる  嘘つきはまたボタボタと精液を零した。     やっとあたえられた明快な快楽を身体が待ち続けたからこそ、必要以上に感じてしまったのだ。    「壊れちゃったかもね。お前のちんぽ・・・ずっと出てるし」   オレは笑った。     ゆっくりと耐えながら、腰をまわしそこを味わった。  そこは暖かく、オレを求めていた。  そこはオレを欲しがっていた。  オレを受け入れていた。  「ここに入った位でお前を支配なんか誰にも出来ないよ。オレを見てみろよ。何本咥えたわからないけどな、誰もオレを支配してない」  オレはささやきながらゆっくり動かす。     たまらない。      嘘つきはじれったいのだろう。    泣いて叫び声をあげた。    自分で必死に動く。  可愛い。  ホント可愛い。  そろそろ、意地悪はやめよう。         

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