158 / 275

解除 2

 初めて恋人を抱いた時は、散々前でイかせてやったのを思い出す。  あの時は今感じる面倒くささなんて感じなかった。   痛がる恋人が愛しすぎて、なんとかしてやろうとこっちも必死だった。  意地っ張りな恋人。  可愛い恋人。  痛みに戦く身体に焦ったのは男だった。  少しでも痛くないようにしてやろうと頑張った。  あんなに必死なセックスなんてしたことがなかった。  飼ってたつもりだった。    手は出してしまったし、手を出したことに後悔はしたけれど。    猫と同じように扱っていた。  大切に可愛がり、好きにさせやり、危なくないように管理して。  それでいいと思ってた。  セックスはまあ、楽しくはあるがあくまでもオプションだった。  それ以上に可愛く飼っていた。  猫に仕えるのと同じように。  常に気にかけて、仕事でいない間もどうしてるか心配して。  猫とソイツの待つ家に帰るのが、キツイ仕事の間の心の支えだった。  独裁者がする皆殺しの命令で、女子供を淡々と殺している間も、猫とソイツが待つ家のことを考えたら、さすかに滅入る気持ちが楽になった。    そんな風に思っていたのだ。   「ちゃんとイかしてやるからな」  信者の前をいやらしく擦ってやる。   後ろの痛さはあっても、ここに出家してからは禁欲的な生活を送っているせいだろう、擦られれば萎えることなく、喘ぎ声をあげていく。  多少めんどくさい。  後ろでするのを慣れたヤツとたっぷり楽しんでやりたかったが、それは贅沢だと男はわかっていた。  これはお仕事なのだ。  楽しんでいるけど。  信者はちゃんと射精した。  射精した瞬間、震え、締め付ける穴を男は楽しんだ。   首筋にキスをしながら、中にたっぷり放ってやった。    もの足りないが、まあ、仕事なことを考えればこれくらいでおわらなけらば。  男は死体で楽しむ趣味はないので、ここまでで諦めるしかない。  時間的にもうギリギリだ。    教団本部でもこうしたが、まだ教団はわかっていないようだ。  支部とはいえ、こんなに簡単に侵入を許すなんて。  わかってない。  あの男が狙っているのは本部などではない。    今の教団代表などではない。  教団全てだ。   教団そのもの。  上に逆らえず、大人しく犯されるような、ここにいる信者のような一人一人だ。  まだ繋がったまま、キスをした。  フェラは下手だったがキスは悪くない。    「可愛かったよ」  物足りなかった、なんて言わない。  可愛かったのは事実なのだ。    繋がったまま首を締めた。  自分がまた硬さを取り戻していることには目をつぶる。  殺しながら、犯すのがいいだなんて・・・思いたくはない。  だけど、首を締めていけば、また穴が締まっていく。   腰が動いていた。    何故殺されるのかもわからないまま、信者の顔が赤黒く染まっていく。  膨らんでいく。  目かとびだすように見開かれ、口が裂けるほど開かれ、舌を突き出す。  ホラー映画の化け物だ。  せっかくの可愛い顔が台無しだ、と思いながら、穴の締め付けを楽しみ、早めに射精した。     手に爪を食い込まされたが、まあ、これくらいは仕方ない。  相手は死ぬのだ。  その苦しみに比べたらこれくらい。  死ぬ前に射精することにはこだわった。  死んだ後に出したら、変態みたいだからな、男は真面目にそう思っていた。  死ぬ間際のセックスが、生きてる最中の信者とするより良かったのは内緒にしておこう、男はそう思った。  これは仕事。  だから別に殺して犯すのが目的じゃない。  そう、仕事で浮気じゃない。  心の中でもうすぐ生き返る恋人に言い訳を男はしていた。

ともだちにシェアしよう!