218 / 275
祭 36
休憩時間になった。
プログラムは半分を通過している。
僕はのんびりガキの膝を堪能し続けていた。
ガキの膝枕は嫌いじゃない。
たまにガキの指を齧ったり指先にキスしたりしながら。
髪を撫でることを促したら、小さくガキは笑った。
「あんた猫みたい」
そう囁かれた。
ガキの指が心地よい。
僕はガキの太股に顔すりつけた。
舞台の上でどんどんプログラムが進行するのをずっとみていた。
教祖を讃える歌を信者の子供達が歌ったり、代表である女の素晴らしさをたたえるスピーチを中学生がしたり、どこの独裁国家かと思うようなプログラムだった。
支配したがるヤツは、自分がほめたたえられるのが大好きだ。
誉められ、人々が自分に付き従う姿に恍惚とするのだ。
人々が自分のモノであることにパワーを感じる。
自らが神になりかわったような万能感。
歪んだ支配欲。
面白すぎた。
所詮は人間でしかないくせに。
とにかく女は満足そうだった。
30分の休憩の間に、演台をステージに設置させていた。
休憩の後、本日のメイン、女の説法が始まるからだ。
かなり大きい。
運んで来るのは大変だっただろう。
わざわざ当日、直前に。
下からライトアップするための照明までついている演台は、スピーチするための台というより、舞台の上にもう一つ舞台をのせたようなモノだった。
僕には何故女がその演壇を必要としたのか、何故女が殺人現場からその演台を運んで来たのかがわかっていた。
ここからが面白くなるところだ
何事もなくここまで進んできた。
さあ、休憩の後のメインタイム。
一番盛り上がるところで始まるはずだ。
ガキの指が止まったので僕は撫でることを要求した。
ガキは声を立てて笑った。
「あんた可愛い・・・」
ガキの言葉にちょっとムっとしたが、ガキは可愛いから許した。
ガキの指は優しかった。
ともだちにシェアしよう!