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祭 37
女の白い身体が男の下で揺れていた。
男の動きに合わせ、女は喘ぐ。
だが、女がほんとうに狂ったように叫ぶのは、聖人に頬を撫でられた時だった。
女は「代表」の「侍女」だった。
代表だけが脱がすことか出来るはずの教団服を自ら脱ぎ捨て、その男性信者と交わっていた。
豊かな胸を鷲掴みにされて、男の律動に喘ぐ。
だが、その目は傍らで膝をつき、二人を見下ろす聖人だけを見つめている。
美しい微笑みを浮かべて聖人は女の頬を撫でた。
それだけで女は身体を震わせイク。
聖人に命じられ、この行為を行っていることこそが、最大の快楽なのだ。
人気のない楽屋で女は大きな声を上げているが、ステージのクライマックスの準備の騒音や忙しさに誰も気付かない。
女にのしかかる男も女など見てない。
食い入るような目は聖人を見つめていた。
聖人は男の視線に微笑み、教団服の前をはだけて、美しいその胸や腹をみせてやった。
男はその身体を目にした瞬間呻き、さらに女へ腰を叩きつける。
女は聖人の指をしゃぶり、また絶頂に達する。
男も女も、重なる互いの身体など、それ程の意味などなかった。
彼らは聖人に欲情した。
それを隠すことなく、互いの身体を使って、聖人の視線や指を味わった。
聖人で達した。
男が震え、女の中に達した。
そして、女の上に倒れこみながら、女にではなく聖人に向かって囁いた。
「戻ってきて下さると信じてました・・・」
男はうれし涙を流した。
聖人は慈しむような微笑みを浮かべた。
そしてまだ女と繋がったままの男の背に聖人は刀を突き立てた。
その腕は見た目以上に力強かった。
刀は男を貫き通して女まで届いた。
男は何がおこったのか分からず聖人を見つめた。
でも確かに聖人は最初にあらわれた時からこの刀をもっていた。
聖人は白い服に赤い染みをつけながら、男達の前に立ったのだ。
裁くために帰ってこられたのだと思ってた。
片手を失い返り血を浴び、血のついた刀を持った姿で現れた時から、男も女も聖人にひれ伏し、言われるがまま交わったのだ。
代表を、偽物の教えを裁きに来たのだと思っていた。
またあの頃の教団に戻すために。
でも裁かれるのは・・・我々だと?
刀が引き抜かれ、また突き刺さるのを感じた。
女の身体がふるえ、まるでイく時のように男のそれを締め付けた。
だけど刀を突き立てる聖人の笑顔は優しかった。
これは愛なのだ。
男は理解した。
男の下で女も理解していた。
女は喜びに喘いでいた。
また刀を振り下ろされた。
男はそれでも射精し、女もまた震えた。
歓喜しかなかった。
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