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The show must gone 8

 まるで早送りのようだった。   あっという間に散り散りになった肉体の破片が集まり、絡み合い、再生していく。  10秒もない間に潰れたスイカみたいになっていた頭部は再生した。  そして、ガキがギャアギャア言いながら見ていた昔のホラー映画みたいに(宇宙生命体に身体が乗っ取られるみたいな話だった。何でガキはホラーなんか見るのかは不明。ホラーなんて僕らの生活の日常なのに)頭部は触手を足のようにはやし、情報屋の隣に首無く立つ身体を駆け上がった。  「・・・気持ち悪い」  僕の隣りでガキが呻いた。  自分でも意外だが、同感だ。  自分のことは化け物だと思っていたが、コレと同じだと思うとかなり嫌だ。  「・・・キモイ」  情報屋ですら言った。  女などはさすがにコレは吐きそうだ。  観客席は後ろのスクリーンに映し出されたソレに悲鳴があがって吐くモノまで現れた。    素晴らしいマジックショーはホラーショーになり果てた。  触手を絡ませ合いながら頭部と身体はもうほとんどくっついてきている。  詐欺師は確かに弱い。  だが、再生能力は凄まじく高い。  僕の再生能力等遥かに凌駕している。    首を切り離しただけでは、コイツを拘束できない。  詐欺師はあっと言う間に再生した。  今は剃り上げていた髪までのびて元通りだ。  ただ、一つ気になった。  何故、あの頭部の傷痕だけは再生しないんだ?  詐欺師は嬉しそうに情報屋を抱きしめていた。  本当に嬉しそうなのが、僕を気にも止めてないのが非常にムカついた。  僕を無視する存在など許さない。  「・・・もういいだろ。行くぞ。」  情報屋は言った。  詐欺師は首を振る  「オレだけじゃ足りないのかよ!!」  情報屋が怒鳴り、詐欺師は困ったように溜め息をついた。  そう言うんじゃないんだ、みたいな風に。    そして優しく情報屋の額にキスを落とす。  何、コイツら。  何、僕無視してんの。  何?  僕が主役だぞ。  僕は。  僕は。  とるに足らないモノとして扱われるのが一番嫌いだ。  僕はこめかみに血管が浮き上がっているのが自分でもわかった。  僕は歩いてステージへと向かう。  僕の登場に会場がざわつくのがわかる。  当然だ。  この僕が女や詐欺師や情報屋等と同じはずがあるか!!  僕は綺麗だし、誰もが僕に目を奪われる。  まあ、そういう風に作られているからだけどね。  でも、無視されるよう存在であるわけがないし、僕はどこの誰であろうと僕をとるに足らないものとしては扱わせない。  絶対に。  僕を無視等させない。  僕をつまらないモノになんかさせない。  僕の前に立つ全ての人間に僕は命じる。  僕に怯えて、僕に震えて、僕にみとれて、僕の前に跪け。    ・・・ガキは可愛い。  出会った瞬間に僕に跪いたからね。  そして今でも僕を崇めてる。  可愛い。  僕の後を慌ててガキが山刀を持って追いかけてくる。    情報屋は流石に顔色を変えた。  女は戸惑い、  詐欺師は小さく微笑したままだった。  会場の信者達は混乱状態だ。  女が詐欺師を倒したと思ったら、詐欺師が蘇る。  そこへ、僕の登場だ。  何が何だかわからないだろう。  この様子は他の会場にも中継されているはずだ。  僕は自分がスクリーンに大写しになっていることを確信する。  今回教団がやとったカメラマンは優秀だ。  カメラを止めることなく動かし続けている。  僕はカメラに向かって笑ってさえやった。  今回は僕はお前らの救世主だ。  僕を崇めて、僕に跪け。  僕は右手を振り上げた。  滑らかに溶けて銃に変わる。  観客席からどよめきが聞こえる。  「こんな・・・大勢の前で・・・」  イアホンから犬の泣き声が聞こえたが知ったことじゃない。  僕を秘密にしているのはお前らの都合で僕はどうだっていいのだ。  都合がわるければ自分でなんとかするんだな、犬。  さあ、さっさと頭をぶち抜いて終わろう。   確かに頭を失ってもお前は動けるだろう。  だけど、それがどうした?  お前の力はその唇から零れる嘘だ。  嘘のつけないお前など・・・動けたところで怖くない。  それに何より、お前の力は僕には及ばない。

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