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The show must gone 12

 動かなくなった身体を抱きしめていた。  まだその身体には微かな温もりがあった。  僕はその唇を自分の唇でふさいだ。  触れるようなキスしか許してくれなかった口の中へ舌を入れた。  拒否されなかったから。  彼が嫌だと言わなかったから。  彼が嫌がらない限りは止めるつもりなどなかった。  撫でるようにしか触れることのなかった身体に舌を這わせた。  ずっと吸いたかった乳首を吸った。    噛んだ。  舐めた。  止まらなかった。  愛しかった。  ほしかった。  彼じゃなければならなかった。  死んだくらいでは諦められなかった。  僕の。  僕の彼。  もう勃ちあがることのないそこを夢中でしゃぶった。  そこをこじ開けて、突っ込んで腰をうちつけた。  焦がれた彼の身体だった。  愛しい愛しい身体だった。  そう、この日、初めて死体を犯した。    僕は死体を愛しいと思った。     僕は人間は死んでいる方が好きなのはこの経験からかもしれない。  我慢ならない人間でも殺した死体なら可愛いと思うのは。  ああ、でも。  何故。  何故。  忘れてしまったはずのあの日を思い出さなければならないんだ。    僕は彼を犯し続けた。    そうだ。  奴らがやってきて、彼と僕を引き離そうとする。  僕は暴れて、暴れまわって・・・それでも彼と引き離される  そしてそして。    僕は組織に「人形」ではなく「始末屋」として飼われることになる・・・。  そんなのは昔の。  昔のつまらない話だ。  もう・・・見たくもない。  僕はこの悪夢が終わることを願った。  だけど、奴らは来なかった。  これは記憶にはないことだ。  僕が彼を犯し続けても、いつまでも犯しても奴らは来なかった。  奴らが来るどころか、力ない脚を広げ、彼に押し入り、僕が突き上げた時、彼が微かに喘いだ。  僕は思わず止まる。    「んっ・・・」  彼は確かに喘いだ。  そして顔を小さく振った。  僕は呆然とした。  死んでない?  生きている?  夢中でその唇を吸い、舌を絡めた。  暖かい舌が僕の舌に絡み蠢く。  僕の胸が震えた。  そして確かに・・・彼はその目を開けた。  僕と同じ色の瞳が僕を見つめた。  そして、優しい微笑みを僕に見せた。  「ははっ」   僕は笑った。  泣きながら笑った。    彼に挿れたまま、彼を強く抱きしめていた。  その身体には確かな体温があった。    心臓の鼓動が這わせた手に伝わってきた。  いつのまにか、内臓を抜かれた跡さえ消えていた。  滑らかな、何度も夜毎撫でた、白い傷のない皮膚しかその腹部にはなかった。  生き返った。   生き返った。  これが夢でも何でもいい。  僕は泣きながら笑い続けた。  彼は喘いでいた。  僕が笑うたびに彼の中で揺れる僕のモノに刺激されて。  「・・・優しくして」    彼の唇がひらいてそんなことを言ったから・・・。  僕は優しくいやらしく動かずにはいられなかった。  「愛してる」  僕は囁いた。  優しく優しく動いた。  気持ち良いように。  優しいキスを落としながら、ゆっくりと優しく動いた。  融けるように感じて欲しかった。  怖がらず気持ち良くなって欲しかった。    怖がりな彼を怖がらせないように、僕は激しく突き上げたいのを我慢しながらゆっくりと腰を動かしていく。    「あっ・・・」  淡く漏れる声が愛しくてしかたなかった。    「愛してる」  僕は囁く。  こんな言葉などでは足りない。  この気持ちをあらわすには足りない。  君は僕のただ一人の人。  僕は家族を知らない。  一緒に育った仲間は全員僕のせいで死んだ。  そうするつもりだったから別にいいとしか思わない。  でも、君だけは別。  君が家族。  君が友達。  君が恋人。    同じ遺伝子で出来た、同じ顔の・・・。    愛してる。  この言葉は君にきみだけに。    これはこれは夢か。  夢でもなんでもいい。  僕はゆっくり腰を使う。  ガンガン突きたいのを耐える。  優しくしたいから。  彼の手をそっと握る。  顔を覗き込み、微笑む。  「僕を見て・・・」  苦痛の顔ではない、甘く快楽にほどけた顔に安心する。  手を握りながら、彼の中で動いた。  甘く蕩けるように。    握った指を痛くないように握りしめる。    どうすればこの身体が喜ぶのかは知ってた。  同じ身体は抱いてきた。  同じ遺伝子の仲間達を彼の代わりに抱いていたから。  でも、他の子達には酷くした。    酷い方が好きだから。    でも・・・君にだけはそんなことはしない。  「あっ・・・」  小さく喘ぐ姿に僕はたまらなくなる。    ああ、セックスは相手次第なんだ。    同じ身体でも、他の子とするのなんか比べモノにならない。  こんな緩くまわしているだけで気持ちいい。   キスをした。  彼の口の奥まで舐めた。  舐めてるだけで、彼は勃ちあがったそこからトロトロと液体を零していく。    「気持ち良くなって・・・」    僕は彼の耳を舐めながら囁いた。  彼は身体を震わす。   怖がらせないように、ゆったりしか動いてない。    だけど、緩やかな性感が溜まりに溜まって・・・それでもイキ始めるんだ。   もっと、欲しくなったら、強いのをあげる。  僕は彼の乳首を舐めながら優しく優しく動く。  乳首も優しく吸った。  手をほどくのがつらかったけど、ゆったりと全身を撫でやりたかったから手を離し、その代わり、僕にしがみつくように彼の手を僕の背にまわした。  乳首が甘い。  舌で溶かしてしまいたい。  僕は夢中になる。    腰から下はゆったりと彼の中を楽しんでいた。  物足りない位の甘さが良かった。    「優しくする。優しくするから」  僕は囁く。  「愛してる」  こんな風には君しか抱かない。  その僕の言葉に彼の身体は震え、戦き、また白濁を、吐き出し達していた。  可愛い。  可愛い。    愛してる。

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