237 / 275

The show must gone 14

 「ダメだって!!」  俺は叫んだ。    しかし見事に手足がピクリともしない。  俺の。  この俺の力が完全に制御されてる。  どうやってるんだ。  でも、肩口には噛みつけば・・・。  でも俺は動けなくなった。  だって・・・。  あの人が優しい目をして、優しい声で言ったから。  「愛してる」       それは。  それは。  一度で良いから言われてみたかった言葉だったんだ。    言葉か身体にしみこんでいく。  身体が震えた。  俺が自覚するより先に、身体はあの人の言葉を喜んだ。  毎夜。  毎夜。  それは待ち続けた言葉だったから。  「愛してる」  また言われた。    「あっ・・・」  俺は声をあげてしまった。  出してしまったのがわかった。  言葉だけで俺は・・・達してしまっていた。  身体だけじゃなく、俺の心は信じられないくらい満ち足りていた。    こんな一言くらいで。  「気持ち良くしてあげたいだけ。だから・・・抱くね」  それは酷く優しい哀願の声で。  俺の身体の自由を奪った。  「愛してる」   あの人は優しく囁き俺の唇を塞いだ。  そして優しい優しいキスをした。  その一言が理性を溶かした。  俺は何度も言っている。  何度も何度もそう叫んでる  でもあの人からは一度も言われいないのだ。  「可愛い」としかあの人は言わない。  わかってる。  わかってる。  あの人が俺を好きだってことはわかってる。  そんなことはわかってる。  あの人はそのことを隠したりはしない。  でも「僕の穴」から「僕の恋人」に昇格したのは俺がそう迫ったからだ。  あの人が俺を恋人にしたわけじゃない    違う違う。    俺が好きだから俺か望むことはできる限り叶えてやろうと、あの人はしてくれているんだ。    それは俺が好きだから。  わかってる。  わかってる。  あんたは俺を愛してる。  そう言ってくれないだけで。  でも・・・その言葉は思った以上に、俺を狂わせた。      「愛してる」  そう言われて唇を落とされたなら、引き寄せてしまうのは俺の方だ。  貪るのは俺だ。  あの人の舌を吸う。  噛む。  口内を貪る。  俺のだ。  俺の。   俺のなんだ。  あの人の手が下着の中に入り、もう出してしまってどろどろの性器を握られ、俺は自ら腰をこすりつける。    下から俺はあの人を抱きしめる。  俺が叫ぶ。  叫んでしまう。  「愛してる」  あの人が俺の言葉に笑う。  聞いたことのない、優しいだけの・・・少年みたいな声で。  「僕も愛してる」  あの人が囁くその言葉は、また俺の身体をふるわせた。    俺は泣いていた。  嬉しいのだ。  嬉しい。      あの人の指が俺のソコを撫でる。    あの人が性器を扱きながら。  普段は前なんて触らないのに。  穴を優しく撫でられる。  いつも慣らしもしないで突いてきたりもするのに。  らしくない優しい愛撫に溺れる。  「気持ちいい?」  あの人の声が優しい。  俺は何度も頷く。  この人が手でしてくれることなんて・・・そんなにない。  気持ちいい。  気持ちいい。  後ろを使うことの方にすっかり慣れてしまっている俺に、それは慣れない刺激だ。  俺はこの鬼畜な人に、後ろだけでイけるようにされてしまっているのだ。    あの人の顔が擦ってくれているそこへ近づけられる。  嘘だ。  口でしてくれる・・・の。  いつも俺の喉の奥まで突っ込んでも、俺のをしてくれることなんてそんなにないのに。  優しくキスが先端に落とされた。  あの人の綺麗な唇が俺のを咥えた。  舐められる。  「ああっ」  俺は呻く。  あの人のいやらしい顔を見るだけでイきそうだ。    「・・・気持ち良くしてあげる」  あの人は笑った。  いやらしくて、でも優しい笑顔。  いつもの悪魔みたいな底意地の悪さがない。    ズプリ。   あの人が俺のを深く咥えこんだ。  「ダメだっ・・・」  俺は悲鳴を上げた。  そんなことされたことかなかった。  丁寧に優しく喉まで使って扱かれた。  吸われ、舐められた。  指が知らない内に穴の中に入ってきて、其処で回され、気持ちのよい場所を擦られた。  「両方は・・・ダメだっ・・・て」  俺は叫んだ。    気持ちいい。  気持ちいい。  頭がおかしくなる。    「出して。今日は僕が飲んであげる」  あの人がそんなことを言う。  俺はあの人の頭を押さえつけてしまう。  俺は。  俺は。  いつだってあんたが欲しい。  あんたの中に入りたい。  綺麗な髪を掴んでしまう。  ああ、痛くしてしまったんじゃないかと慌ててしまう。  「ごめん・・・」  俺は言う。  言うけど動いてしまう腰を止められない。     口の中が気持ちいい。   喉の奥で擦りたてる。  穴の中で指でかき混ぜられんのもおかしくなるくらい気持ちいい。  あの人の苦しげな顔でさえ、俺の劣情を煽るだけだった。  「好き・・・」  俺は声を上げながらあの人の喉奥に放った。      あの人はそれを飲み下した。  さらにしゃぶられ、俺は震えた。  嬉しそうに口で残りの精液も搾り取られた。  嘘だろ。  この人にこんなことしてもらえるなんて。  俺はおかしくなりそうだ。  「何してる・・・君までおかしくなったのか」  イアホンのスーツの声に俺は正気にかえった。  ええ!!  俺・・・。  ここ・・・。  ステージ!!!  「うわぁ!!!!」  俺は悲鳴をあげた。  なんてことをなんてことを。  なんてことをなんてことをなんてことをなんてことを。  「うわぁ!!!!!!!」  俺は錯乱した。  やっちまった。    やっちまった・・・  一千人の前でフェラされてイカされてしまった。  はっと見回せば、呆然と俺を見ている代表の女の人、どうすればいいのかわからない情報屋、にこやかに笑う詐欺師が見えた。  観客席が見えないのが幸い・・・てか、後ろのスクリーンに自分が大写しになっているのがっ、て!!!!!!  「うわぁ!!!!!!!」   俺は叫ぶしかなかった。          

ともだちにシェアしよう!