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The show must gone 15

 「も、やめろ!!」  俺はあの人を押しのけようとした。  だけど、身体をがっちり固定されてしまっている。  ここで止めなければ!!!  公開セックスを止めなければ。  あの人は正気にかえったところで平気だろう。  こういう羞恥心はもともとゼロなのだ  むしろ、喜んで続いてやりかねないところはある。  俺が本気で怒るまで、人前でしてはいけないことが全くわかっていなかった人なんだ。    俺、俺、真面目に寝技も練習する。  あの人が不機嫌になるからあまり関節技とか、押さえ込む技の格闘技は勉強してこなかったけど、こんな風に押さえこまれて動けないのは・・・。  それでも俺は必死で抵抗した。  しかし、どうやってるんだ本当に。  全く身体が動かない。  脚を思い切り開かれて、のしかかられてるあの人を押しのけられない。    経絡か何かを押された可能性がある。  この人は・・・本当に達人なのだ。  殺人技の。  「大丈夫。これ、絶対好きになる」  あの人は甘く言った。  あの人はズボンの前をくつろげていた。  勃起したそれが見えた。  俺は反り返りスクリーンを確認した。  あの人のそれは映ってない。  タキシードを着た背中だけだ。  それにホッとする。  あの人のを他の誰にも見せたくない。  俺だけのだ。  ガン見している情報屋に気づき、睨みつける。  涼しい顔している詐欺師を殺したくなる。  コイツ・・・。    いや、でもこのままってまずい。  まずいって!!  「止めろって!!」  俺はあの人に叫ぶ。    あの人は俺のソコに熱いそれを押し当てた。  俺はもう知ってる感覚を求めて無意識に腰を揺らしてしまった。  ダメだと思ってるのに・・・。  でも、ダメだ。    ダメだって。  「愛してる」  あの人は優しく微笑みながらゆっくりと挿ってきた。  「はぁっ・・・」  俺は声を漏らしてしまう。  押し広げられる感触がたまらない。  「愛してる」  また言われて俺はまた性器の先からこぼしてしまう。  そんなことを言われたらダメだ。  ダメになる。  喜んでしまう。  身体が。  心が。  止めてくれ。  ゆっくりと挿れられ、緩やかに動かされた。  その優しい腰遣いに震える。     こんなことされたことがない。    「愛してる」  そんな顔して囁くな。  そんなに優しく手を繋いでゆっくり中をこするな。    「はっ・・・ああっ」  俺は声をまた零してしまう。  声だけじゃない。    性器の先が震えて、液があふれる。  「・・・嫌・・ああ・・だ」   俺は泣く。  こんな大勢の前でこんな風に抱かれて感じてしまう自分が嫌で泣く。  この人のせいじゃない。  詐欺師のせいだ。  わかっているけどやりきれない。  そして喜ぶ身体が切ない。  言葉一つで・・・。  「   」  あの人は言った。  愛おしそうに囁いた。  あの人は言葉こそくれなかったけれど、俺を抱く時俺の名前を呼んでくれた。  いつも「ガキ」としか言わないくせに。  俺はあの人に名前を呼ばれるのが好きだった。  それは「愛してる」の代わりだと思っていた。  だから名前を呼ばれ度に身体を震わせてきた。  「   」  またあの人が俺を優しく揺すりながらささやいた。  俺は目を見開き固まった。  違う。  違う。  違う。  それは俺の名前じゃなかった。     そうだ。  詐欺師があの人に投げた名前。  あの人がおかしくなった言葉。  そうだ。  そうだ。  あの人は俺には言わない。    あの人は俺には絶対に言わない。  「愛してる」なんて。  俺は逃れようとした。  この溺れたくなるような優しさに快楽から。  この優しさは違う。   違う。  俺に向けられたものじゃない。    「愛してる」  でも優しい声に俺は震えまた性器の先端から零してしまう。  優しく髪を撫でる指に、優しく優しく擦られる腰遣いに感じいって。  身体は勝手に思うのだ。  与えられた優しさが俺に向けられたものだと。  だけど、俺の心は違うと知り叫ぶ。  これは俺にじゃないと。  「愛してる、愛してる」  優しい声。  優しい指。  眼差しの優しさ。  無条件に、ただ降り注ぐような優しさ。    あんたそんな顔出来たんだ。  あんたそんな声出せたんだ。  あんたそんな風に人に触れるんだ。壊れモノを扱うみたいに。  ああ。  こんなに優しいのに。  こんなに気持ちいいのに。  身体を引きちぎられた時よりも苦しい。  「俺じゃない!!」  俺は叫んだ。  この優しさを与えられているのは・・・。  俺じゃない。  俺の前にいた誰か。  いたことだけはわかっていた誰かなのだ。  「俺じゃないんだ!!」  俺は泣き叫んだ。  それでも身体はあの人のやさしい愛撫に、イき続けている。    また零れた。  身体が震えるのが止まらない。  甘く焼かれるような快感。  なのに、心だけは冷たく血を流す。  身体はあの人の紛れもない優しさに狂い、心は痛みを叫び続ける。  1000人なんてどうでもよくなっていた。  俺には与えられることのない優しさに焼かれ、俺の心は引き裂かれていく。    笑い声がした。  それは詐欺師の声だと言うことは・・・俺にもわかった。  コイツはあの人を殺せるのだ。  俺達は勘違いをしていた。  補食者を殺せるのは補食者だけ。  でも詐欺師にはそんな能力はないと思っていた。  でも出来るのだ。    精神的に殺すことは。  こうやってあの人の心を過去に押し込めることによって。  俺は叫び声をあげた。   それはイかされた声なのか、苦痛の叫びなのかもう俺にもわからなかった。  俺は他の誰かへの優しい愛に包まれていた。  優しさは俺をどんな暴力や残酷さよりも切り刻んだ。    あの人を呼びたかった。  でも、俺にはそれさえ許されていなかった。  俺はあの人の名前を知らないから。        

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