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もう1つのエンディング5

 「性器改造って知ってる?昔そういうヤツ殺したことあってね、すごかったよ。真っ二つに裂けてるんだよ。流石に喜ばれるのもいやになって、拷問はしないで即死させたけど」  男はニヤニヤ笑いながら気持ちの悪い話をしはじめた。  変態の話ほど嫌なものはない。  胸がわるくなる。  少年でさえ顔をしかめている。     いいのか少年。  こんなド変態。  「コイツの感じやすい先っぽに穴あけてピアスとか・・・楽しそうじゃない?切り裂いて、もう半分にしてみるとか・・・ゆっくり楽しみたいんだよね」   楽しい趣味の話でもしているかのように捕食者は嘘つきを見つめながら言った。    するだろう。  この男は。  オレはコイツが国に飼われるまえに起こした殺人の現場写真で、被害者の死体の様子を見たことがある。  オレがコイツの正体を洗ったからだ。  アイツに頼まれて。  コイツは飼われる前は死体も綺麗に片付けていたようで、死体さえ見つけることが出来ない仕事の仕方をしていたが、それは死体を敢えて残す必要がある【仕事】だったらしい。    全身の皮を剥かれ、指や手足まで切り落とされた死体は凄まじい形相をしていた。  限界まで開けられた口は苦痛の叫び続けていたそのままで、目は恐怖を映しだしていたそのままで死んでいた。  その写真はどこかの組が誰かを脅すためにつかったものだったが、この男は人の苦痛を最大限に引きだすプロフェッショナルであり、それを心から楽しむサディストなのが良くわかった。    少年の顔が白い。  少年にこれが楽しめるわけがないのもわかってた。    「死なないようにするのが一番難しいんだよ。拷問は。でもコイツなら大丈夫。何しても死なない。楽しめる」  捕食者は嬉しそうに嘘つきをみつめた。    嘘つきは淡い笑いをうかべて平然としていた。  何があっても平気なように見えた。    でもコイツには痛覚もある。  感情だってある。  ・・・痛みも恐怖もあるのだ。  「ソイツを助けてくれとは言わない。・・・せめて拷問はやめてやって欲しい」  オレは膝をついた。  頭を床にこすりつけ、捕食者に頼みこんた。  捕食者は本当に「楽しむ」だろう嘘つきで。  嘘つきをそんな目にあわせたくなかった。  コイツがそんな目に合うべき人間ではないなんて言えなかった。  コイツも散々人間の苦痛で楽しんだからだ。  殺された人達のことを考えたならば、そうされても仕方ないたろう。  でも、オレは・・・。  オレが耐えられなかった。  オレは床に頭をこすりつけた。  なんなら靴でも舐めるつもりだった。    ・・・すごく嫌だけど・・・本当に嫌だけど・・・オレが代わってもいいとさえ思った。  今まであった酷く痛いことでさえ二度とゴメンだと思っているのに、それ以上の痛みなど・・・嫌で嫌でたまらないけれど。  でも嘘つきの代わりにそれを受けてやってもいいと思った。  ただしこれは少年が絶対に了承しないから不可能だろう。  捕食者はオレを殺すとしても(殺したがっているのはわかっている)事故にみせかけて殺すだろうし。   それに、捕食者も一応、「正義の味方」であることにこだわっているからだ。  オレを拷問して殺すのは・・・正義の味方のすることではない。  「殺す」こと自体は自分のモノに手を出したから当然だと思っていても。  派手に殺していいのは悪者だけだ。  「頼む、この通りだ」  オレは何度も何度も床に額をこすりつけた。    「バカにするなよ情報屋。欲しい情報の為ならケツの穴まで舐めるようなお前の土下座なんかに価値があるか」  呆れたように捕食者が言った。  あ、やはりバレてたか。  オレには土下座することなどなんともない。  こんなもん屁でもない。  オレは仕方ないので顔をあげた。    呆れた顔の捕食者と、「え?何ともないの?」という驚いたような顔の少年と、それでもオレをみようとしない嘘つきがオレの目に映る。  「情報屋、お前は犬を抱くなり抱かれるなりして、犬の女が犯される回数を減らしてやれ。犬は最悪なヤツだからお前も女も手放さないだろう。詐欺師は諦めろ。コイツはお前と逃げるなりできたのにしなかったんだ。お前は詐欺師にさえ捨てられたんだから、犬の便利な性処理道具として生きていけ」  捕食者は作ったような優しげな笑顔でオレに言った。  オレは土下座は意味がないので立ち上がる。  まあ簡単に言えば、アイツと一緒に生きていけと言っているわけだ。  この男にしては優しい言葉ですらある。  良く言うよ・・・。    外道が。  オレもアイツも殺す機会をねらっているくせに。  嘘は下手すぎるな。  少年位しか騙せないだろ、それじゃ。  「何故、この男を楽に死なせたい?」  男は不思議そうに言った。  わかんないだろうなお前では。    絶対にわからないだろうな。  お前では。  オレは嘘つきを見つめた。  絶対にオレを見ようとしない男を。  これから続く、地獄のような拷問でさえ平然と受けてみせようとしている男を。  お前は耐えるだろう。  耐えるから、捕食者は楽しむだろう。    お前の心が折れるまで楽しみ続けるだろう。  それは長い時間かかるだろう。  お前は耐える。  ずっと耐え続けてたから。  耐えることはお前の一部だから。  そんなお前の意地さえぐちゃぐちゃに残酷に捕食者はすり潰すだろう。           

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