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嘘の境界5

 あの人の性器も俺のと変わらずガチガチだった。  俺は心配になる。  殺した後のあの人は尋常じゃない欲望にとらわれている。  俺が抱いて治まるのか?  「一回俺に挿れる?・・・治まらな」  俺は提案したが途中で噛まれて言うのを止めた。  本気で深々肩を噛まれた。  血が垂れてきた。  「挿れろ」  あの人は低い声で言った。     「ダメだよ・・・解さないと・・・」  俺はベッドサイドのローションを取り出す。  この人を傷つけるなんて出来ない。  「挿れろ・・・僕がお前にしてるみたいにするんだ・・・早く・・・」  あの人が苦しげに喘いだ。  この人が辛そうなのがわかった。  ・・・獣のようにセックスする以外、この人は殺した後は静まらない。  えっと。  あの人が俺を獣のように犯すのではないのなら俺がすんの?  あの人が俺にしているようにしろって・・・。     ええええええ!!!?  あんな鬼畜な行為をあんたにしろと!!!!  俺は。  俺は。  俺は。  あんたに優しくしたいのに。    「早く・・・」  あの人が辛そうに叫んだ。  あの人が自分から尻を上げてそこを開いた。    いやらしい肉の色が見えた。  この人がそんなことするわけないけどしてる。  「挿れて・・・」  あの人がかすれた声で強請った。  俺の口に苦い味がした。  何かと思ったら、血だった。  俺は鼻血を出していた。  出るだろ。  でるだろ。  違うもんもでそうだ。  暴発しそう。  「・・・早く・・・」  あの人が切ない声で言った。  もう俺はダメだった。  慣れない硬いそこに無理やりおしこむのは・・・嫌だった。  ローションだけは使った。  「ゴメン・・・」  俺は血を吐く想いで呟く。    俺はせめて少しでも負担を減らそうとあの人を四つん這いにして後ろから挿れていた。  でも・・・あの人の中に入る、それだけで高揚してしまう俺がいて、硬くてキツイその場所は・・・震える位気持ちが良かった。  「・・・っ、謝るな!!」  あの人が顔を歪め、耐えながら叫ぶ。  痛いの?  痛いよな。  「奥まで・・・」  あの人はそれでも命令した。  こんなに辛そうなのに。  だってあんたふるえてるし、唇が噛み締められて血がでてる。  俺は躊躇する。  「・・・辛いん・・だ、治まらな・・・いんだ・・・ぐちゃぐちゃにならない・・・と」  あの人が腰を動かしてくる。   その慣れなさが痛々しい。  「・・・奥に・・欲しい・・・欲しいんだ」  あの人は無理に動く。    動いても、キツイだけで・・・これではこの人は快感はないだろう。    でもあの人の身体は欲しがってあの人を焼いているのだ。  散々慣らされた俺なら容易く行き着けるけど、この人はまだ慣れてない・・・。  「待って」   俺は囁いた。  それでもガチガチなそこを手でで擦ってやる。    「・・・あっ」  あの人の身体が震えた。  痛みではない明確な快感に身体が応えた。  先を執拗に擦る。  先のここ、こう擦られたらいいだろ?  あんたは俺みたいに後ろだけでイけるようになってないから・・・。  快感が身体を溶かす。    「・・・あっ・・・はぁっ」  あの人が喘ぐ。  俺はそうしながら、ゆっくりとあの人の中に入っていった。  全部入った。  ゆっくりと俺は腰を使い始める。       ああ、たまらない。     まだ痛いくらいキツイのに・・・気持ち良すぎる。  濡れた前を扱いてやる。  擦りたて、追い詰める。  ゆっくりと慣らすようにあの人の中で動かす。    「ああっ・・・」  あの人が声を上げてそれが快楽の声であることに俺はホッとする。  「・・・イっていいよ?」  俺が囁くとあの人は素直に俺の手の中に放った。  でもまだガチガチだ。  締め付けられて・・・俺も中で出してしまったけど・・・俺だって治まらない。    「奥ぅ・・・」  あの人が泣いた。  欲しがって泣いた。  「奥に・・・頂戴・・・お願い・・・」  せがまれた。    あの人に。  「ははっ」  俺が笑ってしまったのはこの現実が信じられないからだ。  この人はいちど抱かせてくれた時でも、恥ずかしがって、顔も隠すし、感じてるのを我慢してたし、素直になってくれなくて、それはそれでたまらなく可愛くて、そこが良かったのはあるけど、  こんな淫らにせがむこの人は・・・これはこれで・・・。  おかしくなるのは俺だ。  俺はぬいた。      あの人がそれを嫌がって泣いた。    俺はあの人を仰向けにし、脚を押し広げて・・・普段のあの人なら絶対にこんな姿になることは認めない格好にして・・・そうあの人の言い草なら、「女みたいに犯し」たのだ。  腰をぶつける。  あの人が高い声をあげた。  中に出したおかげで動きやすくなった。    「欲しい?」  俺はあえて緩く動きながら囁いた。  「欲しい・・・お願い」  あの人が泣いた。  俺が欲しくて泣いてることに息が荒くなる。  胸が痛くなる。  むちゃくちゃに動きたくなる。  「俺の名前を呼んで?」  俺は抑えるように動きながら言う。  「   」  あの人が叫ぶ。  それは求められる声。    俺の腰を叩きつける。  欲しがられて、求められて名前を呼ばれて・・・。  止まれるはずがない。  何度も何度も叩きつけた。  強すぎる刺激に、でもあの人は乱れた。  叩きつける度に勃てたそこから零していく。  「   」  俺の名前。    あんたが俺にくれる。  こんなにもくれる。  「もっと・・・もっと!!」  あの人が叫ぶ。    あんた明日メチャクチャ凹むだろう。  多分、あんたにとってこれ、俺の大公開セックス以上に恥ずかしいだろ。  俺はおかしくなる。  たまには・・・こうでないと。    笑ってる俺にあの人が泣く。  悔しそうな顔で。  俺に馬鹿にされたと思ったのか。  「笑う・・・なぁ・・・」  泣きながら抗議される。  俺は慌てる。     「違う。あんたが可愛いんだ・・・本当に」  俺はあの人にキスする。  可愛い。   可愛いすぎて死ぬ。  俺は腰を掴んで一番奥をこじ開けた。    「・・・っ、ふぅ」  あの人が呻く。  ここを突かれたら頭が焼けるようになるソコ。  あの人が欲しがっているとこ。    あげる。  今あげるから。  俺はそこを突いた。  「・・・あっ」  あの人が低い声で震えた。  あの人の目が見開かれた。  口が開かれ、涎が流れ出す。  淫らすぎて・・・。  吸い付くようなそこでグポグポと動かすのがたまらなくよかった。    「・・・っ!!」  あの人の身体がただピクピクと痙攣する。  声すら出ない。  ここでの刺激は・・・全部を持っていかれるのを俺は知ってる。  ずん    また突いた。    あの人の身体が何度も何度も痙攣した。  イっぱなしになっているのだ。  こうなったらもう・・・何をされても感じる。    俺は激しく動き出した。    「アアッ・・・何っ・・・怖い・・・」  あの人が泣き始めた。  終わらない快感の波は初めての時には恐怖でしかないのを俺は知ってる。  「大丈夫・・・初めてだからビックリしてるだけ。気持ちいいだけだから」  俺は教えてあげる。  ほら、でもあんたの身体はこれが欲しかったって言ってる。  中で蠢き俺を締め付ける。  たまらない。  可愛い。  可愛い。  欲しい。  俺は思うままあの人の中を味わった。  叩きつけた。  存分に回した。    あの人は泣きながら感じていた。  身体は欲しがり、あの人は怖がっていて。    本当は優しく抱いてあげたい。  この人にはまだ早いのだ。  でも・・・俺を犯すんじゃないなら・・・こうならないと治まらないのだ。    淫らに俺をほしがるあの人の身体とついていけない心に引き裂かれるあの人が・・・。        たまらなく愛しかった。          

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