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嘘の境界6

 俺はあの人の髪を撫でていた。  あの人は俺の胸にもたれるようにして寝ている。    あの人に明日照れ隠しにガンガンに犯されるのだとしても、今日のこの人が可愛かったので構わない。  意識を失ったあの人を風呂に入れ、シーツを変えたベッドに横たえるのさえ嬉しくて仕方なかった。  額にキスする。    寝ているからそっとしてあげなきゃいけないのに、出来ない自分がどれだけこの人にヤラレてるんだと思う。  可愛い。    可愛い。    愛してる。     俺は強く抱きしめたいのをこらえる。  いつものどこか小馬鹿にした表情も消えて、幼い子供みたいな顔で眠るあんた。  今だけはあんたは安らかなんだろ?  邪魔しちゃいけない。  あんたの夢にいるのは俺?  俺だといい。    違ったとしてもいい。  甘くないこの現実であんたの横に立つのは俺だ。  俺だけだ。  誰にも譲らない。  でもあの人は安らかな眠りから目をさました。  それが俺には悲しかった。  この人が生きている限り安らぎなどない。  あの人の目が俺を見る。  美しい瞳に俺がうつる。  「大丈夫?」  俺は尋ねる。  身体は回復する。    でも怖かっただろうし・・・。  「お前は・・・」  あの人が言った。  静かな声。  静かな眼差し。  「うん?」  俺は頷く。  あの人が何か言いたいんだ。  「お前はいつまで僕を愛してくれるの?」  それはとても静かな問いだった。  あの人は震える目で俺を見つめていた。    この質問の答えは俺には一つだ。    まだ成し遂げていないことを口にするのは嘘になるのだろうか。  まだそれは終わってないのにそう言うことは嘘になるのだろうか。  そういう意味では俺の答えはまだ嘘と真実の境目のにあるのかもしれない。  でも俺はそれを成しとげるつもりだ。    やってもいないのに確信だけがあるのは・・・きっと愚かなことなんだろう。  でも俺は言う。  愚かな確信だけを持って。  「永遠に愛してる」    この言葉は不確かで、まだ嘘の境界にある。  だけど俺はこの言葉を強く信じている。    これはいつか本当になるんだと。 END 番外編あります

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