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出口の無い部屋 3

 細い首。  触れて唇をそこに落としたいと思った。  これは彼女じゃない。  彼女じゃない。  でも。  指が伸びてしまった。  そっと撫でた。     触れて撫でたなら、ピクリと震えた。   指でなぞった。  執拗に。  「はっ・・・」  かすかな喘ぎ声。  現実の彼女では有り得ない反応に頭がおかしくなる。  これは彼女じゃない。  これはオレの可愛いアイツだ。  迷惑ばかりかけてきて、甘えてばかりで、生意気ばかり言う、それでも可愛いアイツだ。  次は何しでかすんだといつもイライラさせられるアイツだ。    「・・・オレはお前が可愛いんだ」   私は呻くように言った。  代わりに抱くような真似など出来ないと言いたくて。  そういう風には愛せない。  確かに今のお前の体には反応している。  ではそれは、彼女に似ているから。  彼女を思わせるからだ。  「抱いて。そしたら諦めるから・・・全部なかったことにするから!!」  アイツが振り向き叫んだ。    その言葉が私の理性を焼き切った。  抱いても抱かなくても、アイツを失うことを私はおそれた。  アイツが好きだった。  それが恋でなくても。  アイツを失うことがいちばん怖かった。  アイツは言った。  抱いたなら・・・いつも通りになるのだと。  全てなかったことにするのだと。  アイツを失わないですむのだと。  どんな言葉より・・・甘い誘惑だった。  アイツを失うことなく・・・彼女を抱ける。  そう、どのみち、本当の彼女の身体も・・・女の身体も実際には知らなかった。  どこか似てるそれだけで十分だった。  「キスは・・・して欲しい。目を閉じたら・・・わかんないだろ」  アイツが私の視線に怯えながら言った。  アイツにどれだけ解っていたのかそう思う。  獣のような男の性欲を。  私は獣のように喉を鳴らした。  夢の中で彼女を前にしてそうしたように。  背中を向けていた身体を乱暴に前にむけた。     薄い白い彼女のようにふくらみのない胸。    淡い乳首に興奮した。  喰らいたい。   そう思った。  目を閉じた。    顎をつかんで唇をただ乱暴に押し付けた。   そこからは、無我夢中だった。  酷いことをしたとしか言えない。     ただ、貪った。   押さえつけていた性欲を叩きつけただけだ。    白い胸に淡くある乳首を吸った。  夢に見たように。  舐めた。  「あっ・・・」  小さな声をアイツが零した。  その声の甘さに痺れた  震える身体や、零れる声に何かがどんどん壊れていく。   欲しい。  もっと欲しい。    飢えた。    まだ甘かった声は、血が滲むほど乳首をかんだ時、悲鳴に変わった。  悲鳴と血は甘く脳を痺れさせた。  自分が・・・恐ろしい人間だと知った。  彼女やアイツを傷付けたいなんて、思うことさえできないと思っていたのに。  何のことはない。  傷つけてでも、欲望を叶えたがる獣でしかなかった。  ズボンを乱暴に引き下ろした。  「後ろから・・・」  小さなアイツの声は聞いていた。  それは守った。  アイツの背中から立ったまま腰を抱いた。  小さな白い尻に興奮し、その小さな穴にいきなり無理やり押し込んだ。  引き裂きながら。    慣らしもしない。   濡らしもしない。  そんな知識もなかった。  ただそこに挿れることは知っていた。    引き裂きながら動いた。  貪る肉の甘さに声をあげ、腰を叩きつけくらいつくした。    涙をこらえ、感じているフリまでするアイツの痛々しささえ、欲情に変えた。  あの子の名前を叫び、本能的に逃げようとする腰を押さえつけ、流れる血で動きやすくなったそこで遠慮なく、立ったまま後ろから思うまま突いた。  床に寝かせることさえ考えなかった。    獣のように吠えた。    気持ち良かった。  気持ち良かったのだ。  中で放ち、また動いた。  とうとう崩れ落ちたアイツの尻をつかんでもちあげ、さらに深くえぐった。  抉るだけえぐったなら、また吐き出した。  そして、また動いた。  たまらなかった。    好きなだけ動き好きなだけ出した。  止まらなかった。  自分さえよければ良かった。    欲望を放つ快感に酔いしれた。    哀れに背中を強ばらすアイツに僅かなあわれみさえ与えなかった。  アイツは本当に分かっていたのか?  それは今でもおもう。  あんなに酷い男に抱かれるなんて思ってもいなかったんだろ?。  それでも何故・・・愛してくれたんだ?  あれからもずっと。    こんなにも酷い男を。  「   」  アイツの名前を呼んでいた。    私は彼女の前で崩れ落ちていた。  泣いていた。  顔を覆い床に崩れ落ちる。    何故私なんだ。    「   」  アイツの名前を叫ぶ。  お前は辛かったか?  私なんかを愛していて。  私は辛かった。  辛かったんだ。  ・・・お前を愛せないことが。    私だって・・・、  オレだって・・・  お前を愛したかったんだ。    出来るならそうしたかった。  そうしていたなら、オレは・・・お前をあんな男と行かせないですんだのか?  オレは床を叩いて泣いた。    それでも、オレは。  どんな形でも手放したくなんかなかったのだ。              

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