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透明な少年
そこから、佐久本は何歳までお漏らししていただ。アンジェリーは何歳までひとりでトイレにいけなかっただ。ガキ臭い口論になり、いや、口論というかアンジェリーは飄々としてるのに対して、頭一つ分大きい佐久本が顔を真っ赤にしていじめられているように見える。
結果。二人ともうるさかったのでまとめて追い出した。
ようやく一人の時間の静かな時間を手にいれたと思ったら、あと一時間であっという間に放課後。
デスクにある置き型のカレンダーが目に入り、明日は土曜日かと考えてると、ポケットの中の携帯が振動した。
確認すると、旧友の蒼羽(アオバ)からのメッセージ。
『千\(^o^)/
僕の顧客がbarだしたから見に行くの付き合って\(^o^)/
飲まなくていいから\(^o^)/
僕ん家から遠いから運ちゃんシクヨロ〜\(^o^)/』
年を考えない顔文字の割に、節々の死語がアラサーを隠せずにいる。
めんどくせぇと、返そうとして手が止まる。
そういえば、ここんとこ三回くらいあいつの誘いをめんどくせぇの一言で断ってる気がする。
あまり無下にしすぎて、拗ねられる方があとあと厄介だよな。
『今日は6時には上がれる』
返すと、すぐ既読がつき返信が届く。
『オッケー★じゃあ先に居酒屋でご飯食べてから向かおう(*≧∀≦*)
千の学校から結構離れたbarだから♪
車できてね(*ノ▽ノ)』
────────
予定より30分遅れて言われた居酒屋に向かうと、もうすでにほろ酔いの蒼羽が手をあげた。
「せーーーん。遅刻だぁ。ここおごってよね」
こいつはかなり強い。
しかも飲んでる日本酒もそこそこいいもの。俺が飲めないの知っててほんといい性格してるよな。
「はいはい。てか、お前何時から飲んでんだよ」
「えー?さっききたばっかだよぉ」
うそつけ。舌まわってねぇじゃねぇか。
とりあえず、お茶でももらおうと呼び鈴をならすと女性スタッフがすぐにやって来た。
「はい。お呼びでしょうか」
「呼んでねぇよ。失せろクソビッチ」
「ええっ」
「蒼羽、やめろ。すみません、ウーロン茶で」
女性スタッフを口汚く罵る蒼羽をたしなめ、注文をすませる。
こいつの女嫌いは健在らしい。
「お前なぁ、誰彼構わず女を見ると罵るのやめろ」
「だって僕、予約の時点で絶対女スタッフ寄越すなって言ってたんだよ?今のスタッフなんて、千を見るとあからさまに顔赤くしちゃってさーぁ?下心丸見えなんだよ歩く性欲ビッチが」
チッと舌打ちすると酒を乱暴に口にいれ、苛立ちを吐き出すように深くため息をついた。
「お前そんな飲み方して大丈夫か?二件目にもたかなったりしてな」
「だいじょうぶだいじょうぶ~」
「吐くなよ」
「千じゃないんだから。僕はお酒強いの~。そういえばこの間小野寺にあったよ。覚えてる?高校で生徒会役員だった堅物眼鏡」
「あー、七三眼鏡?」
「それは久瀬。小野寺だよ小野寺。千よくピアスやら髪型やら注意されてたじゃん」
「ああ、あいつか」
そこから、俺たちは学生時代の話や仕事の話で華をさかせ、あっという間に3時間たっていた。
そろそろ二件目行くかって頃には、とっくに蒼羽はベロベロだったけど、なんとしても行くと言うことを聞かないので、まぁ知り合いの店ならいいかと、その顧客とやらの店にむかった。
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