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冷たい背中
リチェールside
GW。
久しぶりの実家の前にたち、体が冷たくなっていくのを感じる。
久しぶりのイギリスの気温はやはり日本に比べるとやや冷たいけど、それだけじゃない。
胸に何か黒いものが蠢くような感覚を吐き出したくて、ひとつため息をこぼして家のドアを開けた。
しぃん、と静まり返った広い玄関を抜け、そのまま二階の自室にむかった。
ドアを開けると、ベットに親父が座っていた。
いないと思ったけど、まさか部屋で待機かよ。
『……やぁ、おかえり』
静かに顔をあげて親父は微笑んだ。
『わざわざ、オレの部屋で待つとか。気持ち悪ぃな』
ハッと鼻で笑うと、親父も笑顔を崩さないままベットから腰をあげオレの頬に手をおいた。
『全く、いつの間にこんなに汚い言葉をおぼえたんだろうね?』
ガツンと、脳に直接響くようなと共に右の額から頬にかけて衝撃が走った。
横っ面を壁に当てられたんだと、理解する頃には壁に持たれて崩れていた。
「…………っ」
前髪を乱暴に捕まれ親父と目が合う。
『ああ、君はそんな怪我をしてもきれいだね。愛しているよ、エリシア』
母親の名前を呼び、また微笑むと、親父はオレに噛み付くような口づけをした。
始まった行為に、ゆっくりと目を閉じる。
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