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妬み

放課後の校舎は誰もいなくて、しん、としてる。   なんだか、ちょっと不気味だ。 そう思いながら、保健室に向かってると、突然後ろから口を押さえられた。 「─っんぅ」 何が起こったのかわからないまま、近くの地学準備室に連れ込まれる。 恐怖で震えながら顔をあげると、懐かしい顔が僕を見下ろしていて、喉がつまった。   「あ………っ」 一年のとき、ぼくの友達だった四人。 そして、僕が学校にこれなくなった原因を作った四人だった。 「探し物は、これ?」 彼らの手には僕の携帯。 いつの間に?部活中にロッカーから取られたのだろうか。 「か、かえ……して」 声が震える。 彼らはゲラゲラと汚く笑い、僕の胸ぐらを掴んだ。 「お前も学校来てるなら言えよ。俺ら友達だろ?」 そんなこと、少しも思ってないくせに。 怒りと恐怖で、体が強張る。 友達だと、思っていたかったのに、それを壊したのは君たちだ。 「も……友達じゃない。離して」 胸ぐらを掴む手を振りほどこうとすると、右の頬にガツっと衝撃が走った。 信じられない気持ちで殴られた顔を抑えて見上げると四人は顔を見合わせて笑っていた。 涙が滲んで、恐怖が甦る。 「えらそーな口聞くんじゃねぇよ。お前も共犯だろうが」 ……そう、こいつら同様、裏切り者は僕も同じ。 でもなんで今さら話しかけてくるの? 学校に来るようになって今までなんのアクションもなかったのに。 「お前さ、保健室登校じゃん。保健室のサボり姫って知ってる?あいつめっちゃかわいいらしいじゃん」 ゾッとする一言だった。 また、ぼくに、あんなことをさせようというのだろうか。 こいつらは悪魔かと思う。 「しかも一人暮らしで日本に来てるんだろ?親が出てくるリスクもないし、そいつの家俺らの溜まり場にできんじゃん」 「溜まり場兼、おもちゃな」 「あいつをここに呼び出せよ。ほら」 下品な笑いと共に僕の携帯を投げられる。ルリ君にかけろと言うことだろう。 「ほら早くしろ」 心臓が、壊れるんじゃないかというほど、早鐘を打つ。 あの時もそうだった。こいつらと同じクラスでグループに入っていた。 いや、正確にはパシリだったんだと思う。 それでもよかった。気の弱い僕はクラスで強い味方をつけたと思っていた。 中学から仲のいいたった一人の友人は他のクラスだったけど、気にならないくらい毎日一緒にいた。 その子が中々の美少年で、そいつらはストレス発散のためにその子に目をつけた。 呼び出せと言われて、もちろん断ったけど、断ると殴られ、脱がされ、写真を撮られた。 絶望的だった。その写真が出回るのは、人生の終わりだと思った。 そのデータの消去と交換に、僕は友人を呼び出した。 その友人がどうなったかは、しらない。 会えないまま転校して行った。

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