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小さな体
「体きついか?」
ぐったりもたれ掛かってくるアンジェリーを抱き上げると、か細く「大丈夫…」と呟く。
多分ほぼ意識なんてないんだろう。あれだけ頑なにいやがってた服を脱がしても、されるがままの癖に口では絶対に強がるこいつは本当に猫のようだ。
あまり見ないように手早くずぶ濡れのスエットを脱がし、バスタオルでその小さな体を包むと、俺自身もさっさと上を脱いで、アンジェリーを抱き上げた。
「せんせ、せなか……」
アンジェリーは朦朧とする意識のなか、俺の背中に手を回し、傷を撫でようとする。
「はやく、よくなって……」
もう大昔の傷だっての。
それに、それはお前だろーが。
片手でバスタオルに包まれたアンジェリーを抱いたまま脱衣所においているドライヤーを手に取り寝室に戻ると、ベットにおろした。
ベットの枕元にあるコンセントにドライヤーを指すと、アンジェリーの髪に温風を当てる。
こくり、こくりと頭も揺れてるし、ほぼ寝ている状況なのだろう。
5分ほどでドライヤーを終え、もとのさらさらとした髪に戻ると、案の定意識のないアンジェリーをベットに寝かせた。
服を着せてやるために離れようとすると、ぎゅっと手を捕まれる。
「……ほんとに、こいつは」
さら、と髪を撫でて抱き締めてやる。
普段なら絶対にこんな真似しないくせに。
けれど、それを言うなら俺もだ。
こんな風に俺を好きだという奴にすがられたり、頼られると普段ならめんどくさいと思うのに、今はこんなちょっとした甘えでも叶えてやりたくなる。
結局、眠るアンジェリーを抱き寄せて背中を撫でてやっていた。
本当に俺らしくないと思う。
俺は優しいと言われるような人間じゃない。
冷たいとか、冷めてるとか、さんざん言われてきたし、自分でもそうだと思うし、優しくなりたいとも思わない。
「お前が俺を優しくするんだよ、ばーか」
起きてるときには絶対に言わないけど。
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