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俺のもの
アンジェリーがいつもみたいに、誤魔化して笑わないから、俺が思わず軽く吹いてしまった。
「なんで笑うの……っ」
つられて、アンジェリーも自虐的に笑う。
涙がこぼれそうな顔だった。
初めは、感情が欠落してるんじゃないかと思うくらいへらへら笑ってばかりのやつだと思ってたのに。
こんなにもいっぱいいっぱいの中、笑っていたんだと今更になって気づく。
「本当にだいすき………」
「知ってるよ」
応えられないから、代わりに一言だけ返す。こんな中途半端な言葉にも、アンジェリーは満足そうに泣き笑いのような表情を浮かべた。
もうこいつからの好意は否定できないくらい、真っ直ぐと伝えられた。
俺自身がだれかをそんな風に誰かを愛せられるかと言われたら正直無理だと思うし、正直全く想像もつかないけど。
「あは。せんせーの優しさに甘えすぎちゃってだめだねぇ」
「お前はこれくらいでいんだよ」
すぐに笑って強がるこいつを、乱暴なやり方になってでも、甘やかしたいと思うのは、満更でもない。
「………ありがとう」
顔を赤くして緩やかに笑った表情が可愛く見えて、アンジェリーに悟られないように顔を背けた。
それから、少し考えて膝に乗る小さな体をソファに押し倒した。
「………………どうしたのー?」
ほんの一瞬、恐怖の色が瞳に宿ったけど、すぐになんともないように笑う。
「もう一つ俺に頼ることあるよな?」
アンジェリーがきょとんと、首をかしげる。
「んとー、なにかなー?あ、お腹はまだすいてないよー?」
「お前、GWの傷やっぱり父親につけられたものだったんだな」
アンジェリーの笑顔が一瞬で固まる、
さっき、こいつが自暴自棄になって言った爆弾発言を忘れた訳じゃない。
今のアンジェリーはいつもの10倍素直だし、昨日の問題も片付いた。
今のうちに洗いざらい吐かしてやる。
「せんせー、顔怖いよー?」
「誤魔化すな」
笑って流そうとするアンジェリーを鋭く見ると、小さな肩がぴくっと揺れた。
「お前は俺のだって言ったよな。隠すな」
「隠すって、程じゃないよ……」
「言え。命令」
目をそらして段々言葉が小さくなっていくアンジェリーを逃がさないようにソファと、腕で囲む。
「…………別に、どこにでもあるような話だよ」
ようやく、諦めたように口を開いた。
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