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臨海学校
服から頭を出すと、もうせんせーは普通に笑ってて「じゃあな」と背中を向けた。
「え!月城先生その背中どうしたの!?やべーんだけど!」
古傷だらけのせんせーの背中はやっぱり何度見ても辛い気持ちになる。
でもせんせーは、何事もないように笑って振り返り、「昔の女につけられた傷。お子さまには刺激が強いか」といつものように生徒をからかって颯爽とその場を離れていった。
遠くなる背中に今すぐ抱き付きたい気持ちを押さえて、ゆーいちと目を合わせた。
「やっぱお前特別扱いされてる気がする」
「そんなことないよ。オレが外国人だからでしょー?ほら、いこー。みんなも待ってるし」
なんとかゆーいちを納得させて、同じグループの友達3人が待つところに向かった。
「え。ルリ泳げないの?」
「まじで!?てかパーカー着て絶対海に入らないのは実は女だからだと思ってた!」
「あはは!俺も!でも胸ついてねーもんな」
「ばかやろう。オレの逞しい胸筋触ってみろよ」
「はは!!胸もなければ筋肉もねぇじゃねぇか」
ギリギリ足のつかない深さでいると、唯一浮き輪に捕まるオレは笑いの格好の餌食だ。
「ちょっと二人とも。これで本当にルリが溺れたらどうするの」
悪のりしてオレの胸をまさぐる二人を、シンヤという友達がたしなめてくれる。
シンヤは他の二人と違い、落ち着いててゆーいちの次に仲のいい友達だ。
「あーはいはい。じゃーそこの泳げない子供はシンヤに任せて、雄一!敦!あそこの岩まで競争しようぜ!」
「負けたやつジュースおごりな!よーいどん!」
「え!?あー、信也!ルリのことよろしく!」
なんかよくわからないけど、三人は競争を始めたらしくあっという間にそこそこの深さのところにシンヤと取り残されてしまった。
「うーん。とりあえず泳ぐ練習しよっか?」
「ごめんねー。シンヤも泳げるから本当はゆーいち達にまざれたのに」
居たたまれない気持ちで呟くと、クスクスと柔らかく笑う。
「俺はあいつらバカと違ってもっと静かに海を楽しみたい派だから。ルリがいなかったら今ごろ海にすら入ってないよ」
「あはは。わかるー。あいつら少年らしすぎだよねー」
「うん。でも海自体が嫌いな訳じゃないから俺はのんびりルリとプカプカしてるよ」
「じゃー、お手柔らかに泳ぎの特訓お願いします。ししょー」
他の三人のように体力のないオレはシンヤとのんびり泳ぎの練習してるのは意外にも結構楽しめていた。
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