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腕の中
「で、リチェール。続きどうする?」
千さんが綺麗な顔を近付けて、試すように笑う。
「俺はお前が怪我が痛むの我慢してねぇかとか、色々思い出して怖いんじゃねぇかとか気遣ってやってるのに、どっかのチビは的はずれなことに怖がってたみたいだし?」
「ご、ごめんなさい…」
「怖かったらちゃんと言えよ。やめてやるかわかんねぇけど」
「あ……っ」
耳を甘く噛まれて、声が漏れる。
恥ずかしくて口元を押さえようとしたけど、手をベットに押さえられてしまい顔が熱くなる。
「怖がっては………いねぇよな」
オレの顔をじっと見て、千さんが優しく唇を重ねてくる。
たしかに、さっきみたいに怖くはなかった。
でも気持ちが全然落ちつかない。
「安心しろ。俺上手いから」
いつもの俺様口調で千さんが笑う。
今から、本当に千さんとするんだと思うと、体まで一気に熱くなった。
「は。なにその顔」
「……んっ」
女の子みたいに膨らみがある訳でもないそこを千さんの赤い舌が這う。
一々反応してしまう体が恥ずかしかった。
「やめ、せんさん………これ、はずかし……っ」
「だめ。煽ったのはリチェールだから」
「んっ、そこで喋んないで!」
むず痒いような、痺れるような、快楽が続いて、目に涙が溜まる。
いきたいのに、いけない。
千さんをすがるように見れば、目が合う。
途端に恥ずかしくなって、目をそらした。
「なにそらしてんだよ」
「ぁん………っ」
ずっと舐めたり、吸われたりしていたそこに歯を甘く立てられ、びくんっと体が跳ねた。
なに、今の声。やだ。オレじゃないみたい。
「………ふ……。も、やだぁ……千さ、恥ずかしい……」
「リチェール、目あけろ。大丈夫だから」
やめてくれないくせに、オレの名前を呼んで優しく撫でてくれる。
どうしたってこの人との行為は怖いとは思えなくて、続く快楽にひどく戸惑った。
千さんの手がオレの自身に触れて、ぴくっと体が揺れてしまう。
「怖いか?」
「う………」
少しだけ、怖い気もした。
それより恥ずかしさばかりが込み上げて何も考えられない。
頭がいっぱいいっぱいで言葉につまる。
「そんな顔、俺以外に見せんなよ」
どんな顔をしてると言うのだろう。
みっともないくらい赤いのは自覚してるけど。
「あっ、んん」
千さんの手が緩く動いて、たまらず口を押さえた。
けれど、すぐ千さんにどかされてしまう。
「ばか。可愛い顔隠すな。声も」
「か、わいくな………っんぁ」
可愛くなんかあるばすないだろ。オレ男だよ。
そう言いたいのに、千さんの手に翻弄されて言葉が途切れてしまう。
段々と激しさが増す手付きに合わせて、舐められたり甘噛みされたりして、こんなに早く達してしまいそうになる。
「あ、やだっ……せ、ん……っいく、やめて……っいっちゃう……」
「いけよ。大丈夫だから」
「やあああっ」
乳首にカリと歯を立てられ、呆気なく達してしまい、体からぐったり力が抜けて、息をするので精一杯だった。
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