140 / 594
嫉妬
千side
リチェールの話を聞き終わって、気付かれないように小さく息をついた。
ついたところで、苛立ちがおさまるはずがなく、どうにか気を紛らわせようと二箱目のタバコに火をつけた。
リチェールの話は秋元を庇うように言葉が選ばれていて、それにもついムカついてしまう。
殴られてないからとか言って酷いことをされた自覚がそんなにないように見える。
「普段、すごくいいヤツなんだよ。
お年寄りに優しいし、さりげなく気を配れるし。
オレがシンヤをあんな風にしちゃったんだと思う。すごく、辛そうな顔してた」
こういう風に自分をせめるのも、もうこいつの性格なんだと理解してる。
理解してるし、過ぎたことだとわかってても、怒りがこみ上げる。
おまけに、服を着ていても隠しきれていない跡が余計に苛立ちを増幅させるようだった。
「オレ、シンヤの気持ち知らなかったから、千さんのこと好きなのって聞かれて、好きだよー、片想いだけどって答えちゃったんだよね。
そのせいもあるんだと思う」
「あほか。秋元がお前のこと好きなら余計にお前が誰のもんか言っとくべきだろ」
つい吐き捨てるように言うと、リチェールがきょとんと、小さな頭をあげる。
それからすぐにまた顔を真っ赤にさせて泣きそうな顔で頷いた。
喜んでるのか悲しいのかよくわからない表情で、俺の服を掴んだ。
「オレ、シンヤに跡たくさんつけられたし、その……キスとか……」
「だからなんだよ。お前がだれのか言ってみろよ」
「千さん……」
「だろ。くだらないこと言うな」
まるで自分が浮気でもしてしまったかのような口ぶりで話しやがって。
拘束までされて強姦されかけたんだって自覚いい加減持てっての。
「千さん、いっこわがまま言っていい?」
そういうリチェールは珍しくて、なに、と短く返すと、顔を真っ赤にさせてうつむいた。
泣きそうな目だけを怯えるようにあげて、小さく口を開いた。
「えっち、しませんか……?」
「………………………は?」
今なんつったこいつ。
思わず聞き返すと、赤い顔を隠すように俺の胸に飛び込んで顔を埋める。
それから、もう一度震える声で言葉を続けた。
「千さん……抱いて?………オレ、シンヤとのこと、わすれたい……」
リチェールの体は震えていた。
こいつはやっぱり怖かったんだ。
無理矢理された行為も、俺に知られることも。
「……っ」
今日は体調も悪いだろうし、怖いだろうからって、色んな理由や理性で我慢していた。
「今日は怖いつっつっても、やめてやれねぇぞ」
「……うん」
探るように聞くと、リチェールの小さな体をソファに倒した。
リチェールの細い首に唇を落とすと、息を飲むのが聞こえた。
そのまま、服に手をいれてウエストを撫でると、びくっと小さく体を揺らす。
「は。緊張しすぎだろ」
「わ、笑わないで……ん」
キスをするだけで簡単に甘い声を出すこいつは、感度いい方だと思う。
胸の突起に指が触れるとぎゅっと服を捕まれた。
いじめたくなる気持ちもわかるけど。
「あ…………っん、千さん……っ」
「まだちょっと触っただけだろ」
こいつをいじめていいのは、俺だけだ。
直接的な快楽は与えず胸だけを舌と指でいじめると、苦しそうにびくびく体を揺らして、すがるように俺の名前を呼ぶ。
甘い声も、手触りも、全部が女としてると錯覚させるようだった。
「せんさ…………っやぁ、そこ、ばっかり………っ」
「好きだろ。ここ」
「やだぁ………っ」
「じゃあ、ここ?」
後孔にそっと触れると、か細く悲鳴をあげる。
指をつぷといれると、息も苦しそうに感じているのがわかった。
「なにリチェールは胸と後だけで感じるの?」
意地悪に言ってみると、恥ずかしくて泣きそうな顔でふるふる首を降った。
「せん、さんの………っ」
「なに?」
「んん。あっ………千さん、に、触られるの、からだ……っへんになっちゃう……っ」
「は、なんだそれ」
普段はへらへら飄々としてるくせに、快楽に耐えながら必死に俺にしがみついて。
喋るの邪魔するように指を動かしてるのに、一生懸命言うことがそれかよ。
リチェールの敏感なところを指で撫でる。
「ふぁ……あ、あ……っや、だめ……っ」
「だめって反応に見えない」
「あ、やだ………っあ、や、やぁああっ」
指を増やしてリチェールのそこばかりをぐりぐりかき回すと、ビクビク震えて簡単にイってしまった。
「ここ、触らないでいくとか、女みてぇだな」
「ゃんっ」
いったばかりのリチェールの小振りなソレの先端をぺろっと舐めると、びくっとリチェールが反って震えた。
ともだちにシェアしよう!