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電車

リチェールside __________ 翌日、憂鬱な気持ちで少し早めの時間に家を出た。 電車に乗り込んで、ドアのすみっこに身を小さくする。 オレの駅で開いて後は学校までこちら側のドアが空くことはない。 せめて反対側に移動したいけど、ぎゅうぎゅうすぎて身動きが取れなかった。 千さんに会ったら、何て言おう? 昨日の話聞こえてたよって? なんか、咎めているようで微妙だ。 とにもかくにも、千さんは心配性だから今日話すことは免れないだろう。 それから田所も、何をされるか考えたらゾッとする。 …….いや、あいつはオレに病気がありそうだと言うくらいだ。 ちょっかいかけて来るだけで、直接的なことはしないだろう。 それこそ、最後まですることはないだろうし、多少触られるくらいなんてことない。 イギリスにいた頃の感覚を思い出せ。 「…………っ」 そんなことを考えていたらがしっとお尻を捕まれ、息を飲んだ。 今までより、大分大胆な触り方に睨みながら振り向く。 「おはよう、アンジェリー。動くなよ?」 田所がにやっと笑って、耳打ちをしてくる。 もはや隠す気はないらしい。 動いたら、写真をばらまくって? はっと皮肉な笑いがでる。 クズの考えることは分かりやすくて嫌だ。 耳を舐められ全身に鳥肌がたった。 田所は今までよりもずっと大胆な手付きでオレのベルトを外した。 「………っやめろよ………ここ、電車………っ」 「お前が俺に偉そうなこと言うな。立場わかってるのか?」 がりっと耳を噛まれて、息を飲んだ。 大丈夫。どうせ電車で出来ることなんてたかが知れてるんだから。 そう自分を落ち着かせて、左手に爪を立てて堪えた。 抵抗をやめると満足そうに笑ってベルトを外された。 田所の手がオレの胸や、お尻、太ももをじっくり舐め回すように撫でる。 嫌で仕方ないし、だれかに見られたらと思ったら死にたくなるくらい恥ずかしい。 でも声なんて絶対出さないし、無反応でいたら、田所もきっと飽きるだろうと、無表情を貫いた。 「ああ、そうだ………学校で犯された時は何か盛られてたよね?」 楽しそうに田所が耳元で笑い、一度手が離れる。 ほっと息をつこうとしたら、またすぐスラックスの中に手を入れられた。 ぬるっと冷たい何かを後孔に当てられ、びくっと体を揺らしてしまった。 そのぬめりを利用して、指は奥に進みぐちゃぐちゃ中まで塗られる。 「………っは……あ………」 苦しさに漏れてしまった声を手で押さえる。 たったこれだけで、真っ直ぐ立てなくなりドアに前のめりにもたれ掛かった。 「そんな声出たのお前。可愛いな」 「───っんぅ」 指をぐるっと回され、体がぞくぞく震えた。 ずるっと指を抜かれたのに、そこはじんじん熱をもって、塗られたのがただのローションじゃないことに気付いた。 「今日から目一杯アンジェリーで遊べるなって、色々用意してきたよ」 他の人に聞こえないようにぼそぼそと耳元言われ、ぞくっとする。 お願いだから、早く駅について。 さっき塗られたものが前にも塗られ、どんどん体が快楽に溺れていく。 気持ち悪くて、いやなのに。 「………ここ、今にもイきそうなくらい反応してる。感度いいんだ?」 「………っや、めて…………っ」 緩く前を動かされ、悔しいことにドアにもたれてることと、田所に後ろから腰を抱かれてることで何とか立ってるくらいだ。 「あー、でも、こんなとこでイくのはよくないね? よし縛っちゃおう」 田所が後ろで何かを取り出そうとしてるのはわかるのに抵抗もできず、何がされるかわからない恐怖に背筋が凍った。 それを手にもってまたオレの前をさわりだしたけど、とにかく人に気づかれないようにと声を押さえるので必死で見る余裕すらなかった。 「───っあ」 前をぎゅっと何かで固定され、なにかに堰き止められる歯がゆさで体が震えた。 スラックス越しに硬いものを擦り寄せられ、ぞわぞわと鳥肌がたつ。 気持ち悪いもん擦り付けんな。くそ。 はあはあと耳元にかかる荒い息が気持ち悪い。 ドアについた手を見ると、腕時計がもうすぐ電車が学校につく時間を指していた。 よかった。 あと少し。あと少しだから。 後ろをまたぐちゃぐちゃいじられても目を閉じて、必死に声を押さえた。 「そろそろついちゃうな。もっと苛めたいのに」 クスクス笑いながら、片手間に左の乳首をきゅっと摘ままれ、びくっと体が反る。 電車のちょっとした揺れされも辛いくらい薬が効いて、おかしくなりそう。 あと3分ほどでつく。と、やけに遅く思える腕時計を睨むように見ていると、指とは明らかに違うなにかが後ろに入れられ、ひっと息を飲んだ。 一瞬挿れられたのかと思ったけど、それにしては無機質だし、何かの塊のようだ。 「………っな、にいれたの………っ」 奥まで押し込められた苦しさに息をついてると、いれたものや縛ったものをそのままに田所がオレのベルトを戻し始めた。 「まって………っもう、つくから……とって………!」 「ここからが楽しみだろ」 「────あぅっ」 急に奥でさっき入れられたものが震えだして崩れ落ちそうになるのを田所に押さえられた。 漏れてしまった高い声は、幸いもうすぐ停車することを告げるアナウンスにかき消された。 なに、いまの………。 ローター?父さんに何度か使われたことがある。 「そんなことで大丈夫か?これ、最弱なんだけど」 田所が楽しそうに手元で小さいなにかをカチッとならす。 「ひぅっ」 途端に、振動が激しくなってびくんっと絶頂を迎えそうになる。 けれど、縛られたものに塞き止められ、イきたいのにイけない苦しさに涙が目に溜まった。 駅の到着を知らせるアナウンスが流れ、ドアが開かれるとぴたっと振動がやんで下が疼くのが自分でもわかった。 「ほら、降りろ。お前は今日一日そのまま過ごすんだよ」 目の前が真っ暗になる言葉に、思わず首を降る。 「む、無理………も、とって……おねが………っん」 たまカチっと田所の手元で音が鳴って後ろが振動する。 動けないでいると、田所に引っ張られて無理矢理開いたドアから下ろされた。 そのまま人が少ないところまで引っ張られて段差に座らされる。 「大好きな月城のためだろ?がんばれるよなぁ?」 目の前でひらひらとちらつかされる写真に、頷くしかなかった。

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