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佐倉先生と新しい友達
次の日、俺の思惑通りぶすっとした仏頂面で来た純也にクラス中がざわざわした。
いや、純也は不登校とはいっても、気まぐれにふらっとやって来たりはするんだけどね?
相手に迷惑がかかると言えば、律儀に朝練から来る辺り本当根は真面目だよなぁと思わず吹いてしまった。
「純ちゃん、えらい」
「なんだてめぇ!なめた呼び方しやがって!触んな!」
髪を撫でると、またすぐ振り払われる。
なめた呼び方はそっちだろと思うけど、怒る気にはなれない。
しばらく純也で遊んでると、朝練を始める時間になった。
「この子が純也のパートナーだからね」
ルリくんの背中をぽんっと押すと、ああ?と、ガラ悪く純也が振り向く。
そんなの気にした様子もなく、ルリくんがふんわり柔らかく笑って右手を差し出した。
「リチェール・アンジェリーです。ルリって呼んでねー、純ちゃん」
「て、てめぇ!なめた呼び方してんじゃねぇよクソガキ!」
俺の真似をしてかからかうように言うルリくん。
クソガキって、同じ年だろ。
ルリくんも全く気にした様子もなくふにゃふにゃ笑うだけ。
「えー?じゃあオレのこともルリちゃんって呼んでいいよー?これでおあいこだねー」
「呼ばねぇよ!オカマ野郎!」
うんうん。やっぱりルリくんをパートナーに選んでよかった。
身長がちょうど同じくらいの160㎝ちょっとってこともあるけど、性格が柔らかいから純也とあってる。
「はい、純ちゃん足出してー。
オレと純ちゃんを繋ぎまーす」
「気持ち悪ぃ言い方してんじゃねぇよ!」
そう言って、素直に足を出すもんだから、ルリくんも笑いをこらえてるような顔。
やっぱりこの二人はいいペアだ。
「へっくち」
「なにそのくしゃみ。かわいいねー」
俺も思った。普段は威勢がいいのに、女の子みたいなくしゃみをする純也をルリくんがケラケラ笑う。
純也も顔を真っ赤にして、間違えただけだ!と言う。
なにをだよ。
「純ちゃん寒いんでしょ?
オレ、イギリス生まれだからこれくらい寒くもなんともないんだよねー。ジャージ貸したげる~」
「い、いらねぇよ!触んな!」
「はいはい。純ちゃんに風邪引かれたらオレ明日から練習一人でできないじゃーん。ほらほら、着て着てー」
ジャージを忘れて半袖の純也にルリくんが問答無用でジャージを着せる。
ぎゃんぎゃん言いながらも、純也は俺にやるように振り払ったりはしない。
「素直に着るんだ?」
からかうように純也に近付くと、ぎろっと睨まれた。
上目遣いで怖くないですよーとは言えない。たぶん、こいつ身長コンプレックスだから。
「うるっせぇな!こいつが振り払ったら吹っ飛びそうなくらい細いから抵抗できねぇんだよ!」
「えー?オレ絶対純ちゃんと喧嘩したら勝つよー?ぽこぽこぽこって圧勝しちゃうよー?」
「ふはっ。ぽこぽこぽこって時点で弱そうだっての」
うわ。純也が笑った。
なんだよ。可愛いじゃん。
てか、このひねくれ者を笑わせるルリくんすごい。
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