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テスト明けの休日

リチェールside 高速をしばらく走らせてついた隣の県の市内の映画館。 木を隠すなら森の中、人を隠すなら………って言うんでしょ? 休日の映画館は人で溢れかえっていて、これだけの人混みの中に知り合いがいたって気付かれるはずがないし、その点は安心だけどはぐれたらいやだから少し千さんの服の裾を摘まんだ。 それに千さんはすぐ女の人に声かけられるから心配。 「ルリ?………おい、ルリ!」 そう思って3秒後、名前を呼ばれ急いで手を離して固まる。 人違いのフリをしようとしたけど、そっちの方が怪しいなと少し考えて振り返ると、純ちゃんがぱたぱたと駆け寄ってきた。 あれだよ。あれ。 ワンちゃんみたい。かわいい。 「純ちゃん!」 あまりの可愛さにオレも駆け寄って、そのまま純ちゃんに抱き付いた。 「おい!抱きつくな!」 「なんでこんなところで会うのー。すごーい。オレ達運命ー」 「話聞け!」 オレのこと見つけた瞬間駆け寄ってくるくらい好きなくせにさ、抱きついたら照れて嫌がる純ちゃん本当かわいい。 「こらこら純也、勝手にどこいくの。迷子になったら……」 「おい、リチェール。はぐれたらどうす…………」 純ちゃんの後ろから佐倉せんせー、オレの後ろから千さん。 お互いがお互いを見て固まった。 その場が一瞬で凍り付く。 状況を理解するのに、時間がかかった。 「………あー、まぁお互いなんとなーく気付いてました、よね?」 「………まぁ」 へらっとぎこちない笑顔の佐倉せんせーに、しれっと答える千さん。 なにが?とか、野暮なことは聞かない。 「あ?なにがだよ?なんで月城がいんだよ。説明しろよ佐倉」 純ちゃんだけが頭にハテナマークがついていた。

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