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さようなら

さっきのホテル街の中で一番質の良さそうな場所に入って、ベットにその体を押し倒した。 「あ、あの………お風呂………」 自分から誘ったくせに恥ずかしそうに顔を赤くして逃れようと身をよじらせた。 「いいだろ。最近寒いし一日中汗なんてかかねぇんだから」 「せ、せめてシャワーとか……っ せんせーはいつもいい匂いだけどオレはバイト終わりだし、汗くさいかも、だし……っ」 「アンジェリーも大丈夫だろ。甘い匂いする」 「や、やだ……嗅がないで……っん」 首もとに舌を這わせただけで、ぴくっと体を揺らす。 顔はもうずっと真っ赤で、半泣きでとても慣れてるようには見えなかった。 まるで、処女にでも手を出す気分だった。 今まで経験豊富で割り切ったような女としか寝てこなかったから、そんな初々しい反応を見てると、男だとか生徒だとか忘れて、年甲斐もなく心臓が早鐘を打つ。 キスをして、舌を絡ませながら服を脱がせていくと、汚れを知らない真っ白な肌に手を滑らせた。 「………っん………んぅ」 重ねた唇から、漏れる声をもっと聞きたくて唇を放す。 「………っや、やだ……っくち、はなさないで………っ」 俺のシャツをつかんで短い舌を絡ませてくる姿にかわいいと思えてしまう。 舌づかいも拙くて、本当に俺と付き合ってたのかと思うほど。 それなのに、アンジェリーの表情一つ一つに反応してしまう自分がいる。 「ぁんっ」 胸のピンクの突起をなめると、びくんっと体を反らして、アンジェリーが顔を寄りいっそう赤くしてパっと口を押さえた。 「へぇ、ここ弱いんだ?」 「あっや、やだ……っ」 口を押さえる手をベットに押さえつけて反応を見せたそこを執拗に舌で弄ぶ。 どちらかと言えば、女とするときもこう言う前戯とかはまどろっこしいと思っていたのに、今はアンジェリーの敏感な反応をもっとみたくて色んなところを探っていった。 「せ、ん……っそんなこと、しなくていいから、もう、早くいれて……っはずかしい………っ」 「だーめ。慣らさないとキツいだろ」、 「ひゃ……っん」 小振りな前に触れて抜くと、イきそうなくらいパンパンになってることに気付いてそのまま手の速度を早めた。 「や、やだ、やだぁっ………あ、だめっ………手とめて……っく……イく……っ」 アンジェリーはふるふる首を降って怯えたように俺の服をつかんですがってくる。 こういう行為に恐怖心があるのか、怖がってるのはわかったけど、でもイかないと辛いだろうと、そのまま続けた。 「やぁああ───ッ」 びくんびくんっと、アンジェリーが反り返って達した。    よっぽど怖かったのかボロボロ泣く姿に、どうしていいのかわからない。 可愛いとも思えるし、可愛そうだとも思える。 「せ、ん、千……っ」  それでもすがるように名前を呼ばれて抱きしてくるから、頭を撫でてキスをした。 「アンジェリー、怖いか?」 「こわ、くない……っ」 うそつけよ。 最後だと言うなら、と思ってここまでしたけど、こんなに泣くなら、やめた方がいい気さえしてくる。 「アンジェリー?怖いならちゃんと言え。やめてもいいから」 小さな体を抱き起こして背中をあやすように撫でる。 本当に小さくて、華奢な体は少し力を入れたら折れてしまいそうなくらいだ。 「や……っやめないで……っこわくない……っ」 どうしようかな。 正直女の涙とか面倒としか思わなかったはずなのに。 頭を撫でたり、顔にキスしたりして甘やかして見るけど止まらない涙に内心戸惑う。 「………っせん、好き」 「うん……」 ぎゅーっと俺に抱きついて来るアンジェリーはちいさな子供のようだ。 普段は驚くほど大人びてるのに、こんなに脆いなんて、あの笑ってる姿からは想像もつかない。 「………あの日、いき、なり、オレのこと、忘れちゃったでしょ………っ」 泣きながら途切れ途切れに話すアンジェリーの言葉を抱き締めて背中を撫でてやりながら聞く。 「無事だっただけで、よかった……っほんとに、そう思うのに、やっぱり、寂しくて……っ」 「うん。俺のために我慢してくれてたんだよな」 「………っぱい、いっぱい言いたかったから。 最後になるなら、ちゃんと、たくさん、言いたいこと、あるから………っ」 恨み言でも、なんでも言ってくれたらいいと思う。 突然記憶をなくしてこいつを忘れて、泣いてるこいつを俺は夜が開けたらもう手放すのだから。 涙を手で何度も拭ってアンジェリーは自分を落ち着かせるように息を吐いた。 「オレ、千と会うまで、本当に空っぽだった……。 こんなに悲しかったり、嬉しかったり、誰かを想うことを教えてくれてありがとう。 千のこと好きになれて本当に幸せでした。 ずっと大好きだから、いつかもし、オレのことを思い出してその時に大切な人がまだ見付かってなったら、オレを選んでください」 首をかしげてにこっと笑う。 肩は震えていて無理してることがバレバレな言葉に、胸が切られるように痛んだ。 恨み言を言ってもいいんだぞ、お前は。 「千、夢を見させてくれてありがとう。 もう付きまとって困らせないから、ずっと好きでいるのは、許してね」 こいつの悲しい笑顔を見てると、胸がズキズキと痛む。 なんでこんなに健気に俺だけを想う子を忘れているんだろう。 戸惑うオレをアンジェリーがゆっくり押し倒して、唇を重ねてくる。 上に乗られたって簡単にひっくり返せる軽さに抵抗もせず受け入れた。 拙い舌を一生懸命俺の舌に絡めてきて、その健気さにその舌を絡めとって主導権を奪った。   「んぅ………っは……せ、ん……」 唇を話してなにか言おうとして来たけど、離れる言葉をなぜかこれ以上聞きたくなくて、片手で頭を固定して深く口内を犯した。 ぽたっと水滴が顔に落ちて、アンジェリーがまた泣いてるのがわかったけど、どうすることもしてやれなくて、そのまま体をひっくり返してまたその真っ白な肌に舌を這わせた。 泣きながら、やめないでと言うからやめなかったし、震えながらも痛くしてというから優しくはしなかった。 「ん………っあ、あっ……っやだもう……っキツいよぉ……いれ、て……っ」 「そんな苦しそうなのにダメに決まってるだろ。 痛いのはお前だぞ」 「いた、くて、いいからぁ……っ」 指二本で苦しそうにも身をよじって俺にしがみつく体を宥めながらならしていく。 感じてるけど、脅えてるような反応にむちゃくちゃに抱きたい気持ちと、優しくしてやりたい葛藤が渦巻く。 「……せ、せんっそこ、もう触ったらやだぁ…っくるし……っ」 「ここ?」 「ひ……っあ、ぁ────っ」 敏感な反応を見せる一点を見付けて、少し乱暴に弄ると、あっけなくアンジェリーは二回目の精を放った。 ずるっと指を抜くとまたビクッと揺れて、本当に苦しそうに見える。 でも、俺自身、もう止められる自信がなかった。 「………アンジェリー、挿れるぞ」 「う………はい」 すでに二回イって疲れたのかアンジェリーが、とろんとした目をむけてくる。 優しくはしなかったけど、ちゃんと慣らしたから痛くはないはず。 後孔に勃ったものを押し当てると、アンジェリーが息を飲むのがわかった。 怖いくせに。 「アンジェリー、今ならやめてやれるけど?」 「や、だ。やめないで……っ痛くて、いいから……っ 優しく、しないで……っ痛くして……」 「ああ、そう」 身を投げ出すように差し出してきたことにも少し苛立ち一気に奥まで突っ込んだ。 「ぃやああああ───ッ」 そのままガンガンと奥に欲をぶつけると、アンジェリーが痛くてなのか、怖くてなのか逃げるように身をよじる。 その腰を捕まえて、さらに奥を犯した。 「やだぁっ!!あ、ぁんっ、ん───っ!」 「………っはぁ、お前が望んだ扱いだろ、アンジェリー」 これに反省したら、怖いくせに平気だといって、痛くていいからと身を投げ出すような真似をしないでほしい。 痛くしろと言ったことを後悔させてやる。 「も、くるしぃ………っやめてぇ!奥やだぁ───っ」 首を降って抵抗するアンジェリーはいやいやと言いながらも感じていたし、気持ち良さそうに泣き顔を見せる。 イったばかりの前を弄ると、余計に目を白黒させて、ビクビクと簡単に3回目の精を吐き出した。 「そこ、いじったらやだっ! も、出ない………!でないからぁっ」 「ひどくして、いいんだろ……?」 ぐりっと先端を弄ると、ぴくぴくと蜜をこぼして卑猥に見える。 寄りいっそう締め付けられ、俺も限界だと思う。 男とするのは記憶上初めてだけど、柔らかいシルクのような肌も、高い声もまるで女としてるようだと錯覚する。 今までしてきた中で一番気持ちよかった。 「アンジェリー、だすぞ……っ」 「んっイって、せんっ……も、イってぇ!」 早く解放してほしいのかアンジェリーはすがるように俺に腕を絡ませて、キスをねだる。 よだれも垂らして、苦しそうな顔は、危険なほどエロい。 その顔に深く口づけて、俺も限界を迎えた。 「んぅう───っ」 ぎゅっと耐えるように背中を丸めて俺の服を掴む。 ずるっとイったものを抜くと、アンジェリーは、プツッと意識をなくしてぐったりと目を閉じた。 精を吐き出して、ぐったり横たわるアンジェリーを見下ろして思うのは漠然とした虚無感だった。 アンジェリーは、感じてたけどずっと辛そうだった。 どうしようもなく、胸が苦しくてその意識のないちいさな体を優しく抱き締めた。 こいつを思い出したい。 どうか、泣かないで欲しい。 けれど、どうしても、だれを愛する自信なんてやっぱり俺にはなかった。 シャワーを浴びて、最後にぐったり眠るアンジェリーの体を簡単に綺麗にする。 あどけない寝顔を撫でようと手を伸ばして、手前で握って止めた。 お前は俺のことが好きなんだろ、なんて随分無責任なことを言ってしまった。 そんなこと言ったって、こんな純心なやつの気持ちを返すことは俺ができるはずもないのに。 「幸せになれよ」 テーブルに1万を置いて、部屋を後にした。

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