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代用品
頭をぶつけたせいか、くらくらする視界の中、無理矢理手を引かれソファに投げられた。
『やめ………っ』
抵抗しようとするとバシンっと叩かれ、顔が横を向く。
そのまま馬乗りされて本格的な恐怖が体を支配した。
『……………父さん、やめて』
こんなやつでも、やっぱり死んでしまうかもと一瞬でも思ったら、やっぱり嫌だった。
『…………オレはリチェールだよ。
他の人に抱かれた、汚い代用品なんだろ?』
今までは誰かに抱かれた母さんが嫌だからと、瓜二つのオレを殴って抱いてたとしても、今はもう興味をなくしたと思っていた。
いや、今だって興味はないんだろう、オレには。
目の前では血走った顔をして父さんがオレの顔だけを歪んだ笑みを浮かべて見下ろしていた。
この人が、死ぬかもしれない。
なら、一人で帰ったって安全だろう。
そう頭の隅で考えてしまったオレも人としてひどいんだろう。
それでも、最後になるならなおさら会いたかった。
未だにオレはさ、信じてたよ。
それだけ母さんが好きなら、オレのことも生まれた一瞬でも愛してくれてたって。
『お前が、憎くて憎くて愛しいよ。エリシア』
そういって、父さんはまたオレに手をあげた。
色々とショックで働かない体が、服を脱がされそうになってやっと抵抗を始めた。
『やめて!オレ他の人とエッチした!!だからもう父さんだけのエリシアじゃないから!!』
『黙れ!!!』
『……………っ』
首を締められ、息がつまる。
本当に殺してしまいたいくらい憎いんだということがはっきり伝わる腕の強さに、頭が真っ白になった。
「………っげほ!げほげほ!」
手が緩み、一気に肺が酸素を求め噎せると視界が余計に歪みもう力をなくす。
『抵抗するなよ……殺しそうになる』
ズボンを一気に脱がされ、父さんが悲しそうに笑う。
そのまま無理矢理足を開かれ、ヒッと息を飲んだ。
「いやだ………やめて…………」
『はぁ?なにお前、その言葉。腹立つなぁ』
「っおねが………やめ………っ」
カチカチと歯がなって、視界が涙で滲む。
頭に思い浮かぶのは、千のことだけだった。
つい、昨日重ねた体の体温をもう思い出すことすらできない。
小さい時から教え込まれた痛みばかり蘇って、息が詰まる。
「おねがい………っオレに、触らないで………っ」
『その、怖くてたまらないって顔最高だね?
でも言葉は気にくわない。猿語かよ?』
前髪を捕まれ、無理矢理目線を合わされる。
『ほら、ちゃんと喋れよ』
父さんの目に映ったオレは、血だらけで真っ青で涙なんか流して、みっともない姿だった。
『………おねがい。父さん……やめて……怖いよぅ……っ』
また新しい涙がボタボタと頬を伝う。
その涙を父さんが優しく親指で拭って、穏やかに微笑んだ。
『やめないよ』
残酷な一言と共に、父さんがオレの中に無理矢理押し入ってきた。
「───っぁああ!!」
言葉にならない激痛に、一瞬意識が遠退いた。
『───ッきついな……っ』
ミチミチと、裂けるような音に無理矢理進む塊が、快楽とは程遠い地獄のような痛みを走らせる。
「やめてぇ!!やだっやだぁあ!!」
血のぬめりを利用してさらに奥へ入ろうとする父さんを必死に押し返すけど、痛みのせいで力が入らない。
『は。全部入った』
今でもこんなに痛いのに、始まろうとしてることが恐ろしくて、懇願するように首をふったけれど、父さんニタリと笑って、腰を乱暴に降ってきた。
「─────っ」
脳にまで響くような痛みに、息すらもままならずがくがくと震えた。
『こうやってさぁ、首を絞めてヤるのって締まって最高だよね』
苦しそうに、悲しそうに笑いながら、父さんはオレの首に手をかけた。
どうして、父さんが泣きそうな顔するの。
その表情に胸が痛んだ瞬間、首を締められ、腰が激しさを増した。
_______どんなに抗っても、オレの居場所はここだったのかな。
中に温かいものが広がった感覚を最後に、意識を手放した。
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