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イギリス

元々、救急で運ばれたから荷物なんてほとんどなく、先生とよくお世話をしてくれた看護師さんに、お礼を言ってタクシーに乗り込んだ。 ホテルはすごく近いらしいけど、まだ体力が回復してないオレを気遣ってくれたんだろう。 ホテルにつくと、元々ダブルの部屋を借りてたらしくすんなり部屋に通された。 外は雪が降って冷え込んでいて、千はオレをベットに寝かすと部屋のエアコンをつけるとすぐ離れてしまう。   「動くなよ」 オレもう怪我なんてほとんど回復したし、寝てなくていいのに。 そんなこと言ってもこの心配性さんはわかってくれないよね。 ゴロンと大人しくベットに寝転がってみるけど、落ち着かない。 「リチェール寒くないか?」 千に声をかけられ、笑って首を降る。 オレはイギリス育ちで寒いのには慣れてるのに、気にかけられてばかり。 ………寒くはないけど。 ベットから降りて千の元に向かう。 まだ腰がだるくて、足元がおぼつかない。 さっきも千に支えてもらって歩いたくらいだった。 「コラチビ。どこいこうとしてんだよ。 寝てろっての」 千が呆れながらオレの体を向かえて簡単に抱き上げてくれる。 こうやって気にかけられると、ぽかぽかあたたかくなるようだった。 ぎゅーっと首に抱き付くと、千がクスクス笑う。 「今日から一緒に寝れるの嬉しいなぁって」 千の暖かさを体で感じた。 「可愛い。絶対離さねぇ」 うん、オレも、離れたくない。 絶対いつか、あなたのように強くなるから、今はこうして甘えさせて。 弱くなった心を、まるで強くしてくれるみたい。 好き。大好き。 「ふふ。離さないでね」 抱き抱えられたまま、さんはベットに進んでポスっと降ろされた。 「もっと声聞かせろよ」 狩るような鋭い瞳に、まさかと、目と息を呑む。 「え、まって。今日したじゃん。 今日はもう無理……」 「じゃあ一回だけな」 「一回だけって………っあ」 耳を甘く噛まれ言葉が途切れる。 本当にするつもりなのか、千はオレの服に手をかけた。 「ま、まって!千の一回って、オレ三回くらいいっちゃうし、今日は……」 「は。なにそれ。可愛い」 「んぅ………っ」 反論しようにも、唇が重なってかなわない。 深くなっていくキスに、舌はまだ少しだけ切ない痛みを残す。 夢中になってる間に、シャツのボタンがとられていて、恥ずかしさから目をそらした。 「せ、千………今日したし、慣らさなくていいから……」 「だーめ」 「ん……っ」 舌が胸に滑り、びくっと体が跳ねてしまう。 いつも千は気持ちいいからしてると言うよりかはオレの反応を楽しんでるように見える。 この人は、オレと性欲処理したいんじゃなくて、愛してるんだって表現してくれてるみたい。

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