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コタツ

     10時半になってもまだ来ない雅人に少し不安になってくる。 もしかして、亜夢さんに引き留められてるんじゃないかとか思う自分がすごくいやだ。 ルリとテレビを見ながらも、時計ばかり見ていると、チャイムの機械音が響いた。 「雅人さんかな?」 ルリがにこっと笑ってモニターを確認しに行くと、またドキドキしてくる。 「雅人さーん。まってたよー」    今、エレベーターしたのセキュリティ自動ドアをあけたなら、あと2分もしないでくるのだろう。 ソファから立ち上がりまた座る。 ピンポーンとまた音が鳴ってまた立ち上がった。 ルリがパタパタスリッパをならして玄関に向かうと、すぐガチャと開く音が聞こえていちいち音に敏感になってる自分が恥ずかしい。 「おはようルリくん。ごめんね純也が迷惑かけたでしょー?」 聞こえてきた穏やかな声に、たまらずまた立ち上がって玄関に小走りで向かった。 「あ、純ちゃんきたー」 ルリが振り替えってふふっと笑う。 その後ろには、雅人がどこかホッとしたような笑顔で立っていた。 「純也、帰ろう?」 「し、仕方ねーな」 ぶっきらぼうに言うと、うんって雅人が嬉しそうに頷く。 「千くんにも挨拶したいんだけどいる?」 「お前は本当に律儀だな」 「あ、やっほー千くん。ごめんねー、うちの子が」 月城も会話が聞こえていたらしく、俺のすぐ後ろに立っていた。 「リチェールも楽しそうだったし、気にすんな。また佐倉に嫌気がさしたら来いよ原野」 「えー!ひどい千くん!」 大人組も楽しそうにクスクス笑って和やかだ。 そのままもう一度お礼をいって、雅人と月城家をあとにした。

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