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信用

__________ 「ルーリ、あんあん感じてないでさ。 商品の感想聞かせてよ」 中にバイブも入って、前には尿道バイブもつけたまま、バックでカズマさんがガンガンと中を犯す。 ムービーを撮りながら笑っていた。 感じてる? 薬で反応してるだけだろ。 薬を使われたって、道具を使われたって、体は限界だったけど、千とのエッチに比べたら全然理性を残すことができた。 「___オ、レが誰と付き合ってると思ってんの………。このド下手くそ」 横目で睨んでふっと笑って見せると、カズマさんが舌打ちをして手元で何かをカチッと鳴らした。 「ひ、ゃああ____ッ!!」 途端に激しくなったバイブに合わせてカズマさんの動きも増す。 「あっ………やぁ……っんぅ……あ、ぁん……あぁっ」 「……っこんだけ感じとといてよく言うよ。 煽ってんの?純情な子かと思ってたらとんだ淫乱だな」 ぎゅうっと胸の突起もつねられ、それにさえビクビクと体が反応してしまう。 「あー、やっべ。超締まってる………イきそう」 「やだぁ!!中に出さないで!!おねが………っ」 「だーいじょ、ぶ。ちゃ…んと奥に出してやるよ………っく」 腰を打ち付ける動きがより激しくなり、シートをぎゅうっと握って耐える。 やめて、と叫ぶ余裕すらなくて息を飲んで中に広がる温かいものを受け止めてしまった。 「っふー。ちょっと休憩」 ずるっとカズマさんのものが抜けても、道具はとってもらえない。 こんな地獄をあと何回見なければならないのだろう。 昔ならもっと早く気絶できたんだろうけど、幸か不幸か千とするようになって、体力がついていたのか意識も飛ばせないまま散々ベトベトになるまで汚されて、朦朧としてきたころ、やっと行為が終わった。 横で荒い息を整えながらタバコに火を着けるカズマさんを見て逃げ出すなら今なのに動けない辛さに唇を噛み締めた。 「………なんで、こんなことしたの」 呆然と出た言葉にカズマさんが横目でオレを見る。 「優しくされて、裏切られて悔しかったことと…………バカにされた気がしたから?」 そんなこと、なかったのに。 大変な目にあっても仕事に打ち込む姿勢はすごいと思ったし、心配したことだって本当の気持ちだった。 今さら、それを伝える気にはなれないけど。 例えば、他にもバーのお客さんで仲いい人もいるし、これで人を疑ってかかるようにはなりたくない。 ならないけど。信じていた人に裏切られて、どうしようもなく気持ちが荒んでしまいそうだった。 ………カズマさんも、きっとこんな気持ちだったんだね。 自分自身を許せない気持ちと、傷付けた申し訳なさ、それとこの人を憎んでしまう気持ちがぐるぐると胸中で黒く渦巻く。 被害者面なんてできない。 それでも、どうしようもなく悲しくて、悔しかった。 「…………手、もういいでしょ……」 固定された手首を少し揺らすと、カズマさんがバカにしたよう鼻で笑った。 「もう逃げようとする体力なんて残ってないだろうしな」 オモチャのようなちゃっちい鍵でカチャンと鍵が回る。 腕がようやく解放され、悔しいことにシートに持たれて動けなかった。 手も痺れていて感覚がない。 「帰らせて……」 「んー、いいよ」 カズマさんはどうでも良さそうに車のエンジンをかけた。 本当に、エッチするためだけに来たのかよ。 オレが聞いてたこの人の仕事の愚痴や、頑張ってほしいとかけた励ましの言葉はなんの意味もなかったんだ。 そう思って、また父さんの顔が思い浮かんだ。 「ねぇ、カズマさん………だめだよ、こんなことしちゃ」 「………なにがだよ」 少し揺れる車内で、動くこともできず呆然と言葉だけを口にした。 「……せっかく……頑張ってきたこととか、積み上げね来たことが、こんなことで爆発させてたら、頑張ってたカズマさんが可哀想……」 「……だれのせいだよ。てか、まだそんな綺麗事言えるんだ?」 胸ぐらを掴み上げられて、目が合う。 その瞳はやっぱり痛みに耐えるように歪んでいた。 ほんと、オレになんか言われたくないよね。 でもこれ、綺麗事かな。 そんなつもりはないけど。 ただ、出会ったとき彼女さんを友達に寝取られたと深酒してた時も、仕事が大変だと苦しそうに笑った顔も、いつも本当に救われたらって思ってたよ。 頑張った人や苦しい人がこうやって爆発することをオレはもうよくわかっていた。 だからぶつけられたからって、やっぱり悔しいけど、自分の悲しさとかばかりに目を向けて相手の苦しさを気付けないような真似はもうしたくなかった。 ねぇ、父さん。 あんたが本当に息子としてオレを愛したことがあるって信じられたら、あんなことになる前に止められたのかな。 母さんへの歪んだ執着心の狭間で苦しんでたこと、もっと早く気付けたら、もう会えなくなるような結末にはならなかったかもしれない。 「………綺麗事とか、皮肉とか、好きなようにとらえてくれて構わないけど。 オレが先にカズマさん傷付けたんだよね。ごめんね。 オレ、こう言うこと、初めてじゃなくて……どうしても、男の人と2人っきりってちょっと怖いんだ。情けないけど」 カズマさんの瞳が微かに傷付いたように揺れて、胸ぐらを掴む手が離される。 「もうこんなことするのはオレでやめにして。 ………ひどいことさせて、ごめんね」 脱がされた服をゆっくり整えて、また重たい体をシートに預けた。 つらつらと、あの時父さんやシンヤにかけたかった言葉が口から出ていた。 傷付けられた側も、傷付けた側も苦しいってことを、気付くのはなんとも苦い気持ちになる。 オレには千がいるけど、この人たちには頼れる人がいなかった。 ……違うか。父さんも、カズマさんもオレを頼ってた。 それをこうなる前に受け入れられなかっただけで、道を踏み外させてしまったんだ。 _____千。こんな最低なオレをあなたはまだ受け入れてくれるかな。 怒っても、殴っても、罵ってもいいから。どうしようもなく会いたい。

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