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冬休み

純也side ルリとはぐれて先にゴールしてしまい、月城が中に入って早15分。 雅人の携帯に見付けたという連絡が入った。 ルリが戻ってきたらあの怖がりようを全力でおちょくってやろう。 「純也ー、なんかね。少し別行動しようってことになったよ」 通話の終わった携帯をポケットに直しながら言う雅人に、は?と顔をあげる。 「なんで?」 「さぁ?まぁあの二人がそれぞれ別々で居たところを合流したんでしょ?揉めたんじゃないかな」 「は?なんで?」 「んー、まぁ純也も一人にはならないでねってこと。男の人にアイス買ってあげるからとか言われてもついてかないでね?」 「てめぇ俺をいくつだと思ってんだ!」 むかつく! やっぱり俺はルリと周りたい。 「あはは。ほら、行こう純也。他にどこ周りたかったの?」 けらけらと笑って手をさしだす雅人に、その手を受け取らず少し前を歩いた。 このあとは、スタートからいきなりすごいスピードが出るジェットコースターと、空中ブランコに行きたかった。 「……じゃあ空中ブランコ」 「楽しそうだね。並んでる間になんか甘いのでも食べながら待とうか?なに食べたい?」 「チョコまんか、チュロス」 「じゃあ二つとも買って半分こしよう」 ルリと雅人は基本的に似てると思う。  いつもニコニコしてるところとか、人と意見を合わせ勝ちなところとか、底無しに優しいところとか。 あと、怒ると怖いところとか、意外と喧嘩っ早いところとか。 でもルリと雅人は全然違う。 こんなに似てるのに、どうしてルリには普通で雅人にはドキドキ、いやイライラするんだろう。 ルリになら飛び付けるし、手を繋ぐこともできる。 でも、雅人はモヤモヤして出来ない。 一応は付き合ってるのに、友達より遠くて、それでいて親より近い。変な関係。 月城とルリなら、お互いに誰よりも近いって見ていてわかるのに、難しい。 「純也、寒いだろ。さっき待ってる間に耳当て買っといたからつけなよ。耳真っ赤だぜ」 だぜ、なんて普段使わないくせにおちゃらけて、楽しそうだなって思う。 グレーのふわふわした耳当てをすぽっと優しくつけてくれて、暖かさにほっと息をついた。 めくちゃくちゃ厚着してるし、なんなら手袋もマフラーも雅人から奪ってるのに。 ぶかぶかの手袋を見てると、雅人が困ったように笑う。 「今度手袋も買いに行こうか?ごめんね、大きいね」 「いい。雅人がつけてたのとる方が暖かいから」 「そう?ならいっか」 いや、怒るところだろ。 むしろ嬉しそうに頭を撫でてくるこいつに、ムズ痒くて俯く。 雅人から奪ったら匂いがして落ち着くからだなんて絶対言わない。

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