366 / 594

小さな挑戦状

累side  ムカつくムカつくムカつく!!! なんだよあいつ!机蹴ったり僕を蹴ろうとしたり!僕がしたことよりよっぽどひどいだろ!絶対! 「累、かわいい顔台無し」 「そんなにカリカリしなくても俺ら累の望ちゃんと叶えてやるし」 うんうんと、のんきにうなずく3人を睨み付ける。 あの場でなにもできなかった役立たずのくせに! 「とにかく、今日はいつもよりひどめに嫌がらせして!」 吐き捨てるようにそう言うと、3人とも可愛いと微笑む。僕は怒ってるのに! とにかく、やられっぱなしじゃいられない! 先生にはもうどうせ前回で嫌われてしまってるだろう。 それはもういい。 でも、やっぱりあのビッチが先生のそばにいることが許せなかった。 しかも、学校公認で一緒に住んでるとか生意気! 先生に近付いたこと、後悔させてやる! そう意気込んだのに、戻ってきた三人からの報告はとてもつまらないものだった。 「靴、捨ててやろうとしたんだけどすでになかったんだよね」 「階段で落とそうとしたらその前にバレて蹴られちゃった」 「あいつ私物をどっかに隠してるよ。鞄もジャージもない」 揃いも揃ってやる内容小学生か! てか、真ん中のやつ返り討ちに合うなし! 「もう!しっかりしてよ!」 三人にそう吐き捨てて、イライラしながら離れる。 でも、黒板にあーいうことを書いたし、もしかしたら他のやつがルリくんに痛い目見せてくれてるかも。 強姦されてたらいいのに。 それこそ二度と先生の前に立つことはおろか、人前に出れないくらいぐちゃぐちゃに。 もしくはあの自慢の綺麗な顔に一生残らない傷ができたらいい。 僕から先生を奪ったルリくんだけは絶対に許せなかった。 しばらく歩いてると、ぞろぞろと移動する生徒のかたまりに遭遇した。 その中心にいる人物を見てゲッと思わず声を出してしまう。 「ルリー、お前人気者の先生と住みだしたせいで大変だな。黒板のあれはひでぇよ」 「俺でよかったら相談に乗るし」 「てか心配だから家まで送るぜ?」 男を5、6人引き連れた中心でヘラヘラと少し困ったように笑う。 あいつらのクラス仲がいいって有名だけど、絶対あのビッチが体でたらしこんだんだ。 「大丈夫だよー。みんなも見てたと思うけどオレ強いからー」 「あれな!スカッとしたわ」 「かっこよかったよな」 「カッコつけてイス蹴っ飛ばしたのはいいけど、足捻ってて次の日歩けなかったんだよねー」 「ははっ!だせぇ!!」 笑い話にされてるのもムカつく! もっと落ち込めよ! 「あ」 僕に気付いたルリくんが足を止め、親衛隊みたいな奴等が前に回り込んで守るように立ってくる。 な、なんだよ。まだ僕がやったって確定したわけでもないのに。 6人くらいから睨まれて、一歩引くとルリくんがたしなめた。 「みんなごめん。オレちょっとこの子と話があるから先行っといて」 はぁ!?僕はないし! でも、走って逃げるのも癪だからなにも言わず睨む。 6人は心配だと騒いだけどルリくんのお願いと言った静かな迫力にしぶしぶ離れていった。 「なに。僕話なんてないんだけど」 静かになった廊下で、睨みながら言うと、ははっと乾いた笑いをルリくんがこぼした。 「余計なお世話かもしれないけど、忠告。 累くんの取り巻きのあの3人さ。あんまり信用しすぎて適当に利用したらだめだよ? 真摯に向き合わないと自分に返ってくるからね」 「はぁ?なんの話?」 「オレが気に入らないなら累くん自分でぶつかっておいで、受けてたってあげるからさ」 「うるさい!」 なにその上から目線。うざ! 沸々と怒りが込み上げてきて、力一杯ルリくんの華奢な体をドンっと押した。 その瞬間、ゴン!!!と鈍い音が響いて頭に衝撃が走る。 「いっ!!」 「カッとなって手が出るのはやめなさい。癖になったら将来DVとかするようなやつになっちゃうよ」 にこっと笑うルリくんにカーっと怒りが頂点にまで上る。 自分だって今手出したのに!! しかも僕は押しただけ! こいつはグーで拳骨しておいて何様!? ほんっと大嫌い!

ともだちにシェアしよう!