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小さな挑戦状
なんだよあれ!!スカしやがって!!!
ほんっと、今思い出してもムカつく!
放課後になってもイライラはおさまらず、乱暴に荷物をカバンに突っ込んで部活に向かった。
3年生が引退した部活は前より少し静かで落ち着く。
先生が好きだから、弓道部に入った。
今では趣味だと言えるくらい上達したし、楽しいとも思える。
この、背筋を伸ばして弓を引く感覚が気持ちよくてスカッとする。
それでもやっぱり。
パンっ
右手を離すと、矢は弧を描いて的のはしっこに当たった。
僕の全ては先生なんだよ。
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「累~、だめだあいつ。隙がねぇもん」
「今日も全敗だったよなぁ」
「一人にならないし、私物はロッカーとかにおいてないし、あ、机に落書きはしたけど」
「もー!!!!役立たず!!!」
へらへら笑っていってくる三人にいらっとしてつい暴言を吐いてしまう。
でも昨日の上から目線のルリくんを思いだし、言葉が止まらなかった。
ルリくんはいつも人に囲まれて安全なところから嫌なことしてくるけどさ、僕だって手足となってくれる人くらいいる。
そもそも僕のことを好きな3人を僕がどうしようが勝手でしょ!
「それなら……もう手っ取り早く襲っちゃってよ。
とんでもなく痛くさ。
全裸に靴下だけって格好とかで写真も撮って脅しちゃおう」
少し胸は痛んだけれど、ここまできたらとことんだ。
冷や汗が頬を伝ったけれど気にせず、強気に笑って動揺してる3人を見た。
「月城の女だろ。あいつ、女じゃないけど」
「間違いなく付き合ってるよな。最近のあのチビ色気やばいもん。月城に仕込まれてるんだろ」
「そんな奴にそこまで手ぇ出して、さすがに月城がこわいわ」
そんな、先生がルリくんを守ってるようなこと言わないでよ!
先生はもういいんだ!
「うるっさい!!!僕の言うこと聞いてくれるんでしょ!?今日の放課後、絶対失敗しないでよ!」
感情的に喚き散らしそのまま食べかけのパンをそのままに中庭を飛び出した。
あんなやつに、絶対負けない。
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