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強さと弱さ
「じゃあ、リチェール。俺を疑ったお仕置きしとくか」
余りにも優しい雰囲気のまま頬を撫でながら言われ、一瞬何を言われてるのか理解に時間がかかった。
お仕置きって言っても千は痛いことや怖いことはしない。
どちらかと言うと、恥ずかしいこと。
いつもお仕置きされたときの自分の乱れようが恥ずかしくて、顔が赤くなる。
「う。優しくしてくれないの?」
千を見上げると、ちゅっと軽く触れるキスをされて優しく撫でられる。
このどこまでも優しく包んでくれる優しい手が好きだった。
「今までリチェールが怖がることは、してこなかったつもりだけど、そろそろちょっとずつ慣れていこうな。怖かったらちゃんと言えよ」
そう言って、千はネクタイを外して艶っぽく微笑んだ。
「リチェール、顔あげろ」
千の顔が見えないし、密着部分が少ないから、後ろからされるのはどちらかと言うと、苦手だった。
でも今回、後ろからされてても千の顔を見ようと思えば見れるのに自分からそれをしなかった、
「や、やだ……っあ、ぁんっ」
顔をあげるのを拒否するようにシーツに顔を埋めると、ペナルティーだと言うように後ろを弄る指が増やされ、知り尽くされた敏感なところをぐちゃぐちゃに犯された。
「顔、あげろって。リチェールの可愛い顔みたい」
耳元で囁く色っぽい声にぞくぞくと体が震える。
目の前には大きな姿見があって、鏡越しに千を見ることは出来るのに、同時に乱れた自分の姿まで映ってしまい、見てられなかった。
「後ろからするのも最近は慣れてきたみたいだし、もう少しステップアップするか」
いつまでも顔をあげないことに千が痺れを切らしたようにオレの体を抱き起こした。
「リチェール、少し縛るけど痛いことはしねぇから」
ちゅっと耳にキスされ、ぴくっと体が反応する。
千の甘くて低い声には、否が応にも従ってしまう不思議な響きがある。
「ぎゅう、出来ない……」
座らされた状態で、ネクタイで手に縛られたことを不満に伝えると、千がクスッと笑うのが聞こえた。
「俺がしてやる」
「…あ…っ」
千の声にうっとりとしてると、鏡の前で大きく足を広げさせられ、恥ずかしさに悲鳴をあげた。
「な、なに?千、これやだ!恥ずかしい……っ」
「恥ずかしがることしてるからな」
そのままタオルで固定されしまい、映し出された恥ずかしい格好の自分の姿に涙が溜まった。
オレは脱がされて全裸なのに、千はちゃんと服を着ていて、それが余計に羞恥心を煽る。
「リチェールは俺に愛されてる自覚も、自分の可愛さの自覚もないからな。どれだけ可愛くて愛されてるか、ちゃんと見とけ」
「や、やだ!可愛くない!恥ずかしいよ……っん!」
抵抗することすら出来ないまま、千に後孔を弄られ、びくんっと体が跳ねる。
後にいる千の顔を見たいのに、どうしても鏡は見たくなくて目をぎゅっと瞑る。
「そのままイヤイヤするなら、前も縛ってイけなくしてやろうか?」
薄く笑って意地悪に告げられる千の言葉にお仕置きでイけない時の苦しさを思い出して恐る恐る目を開けた。
「いい子だなリチェール」
「や……っあぅ、んんっ」
オレが目を開けたのを見計らったように激しくなる指に縛られた体がビクビク反応して、だらしのない顔をした自分の姿が映った。
「可愛い」
「あ……っやだぁ!可愛くないっ!やめてぇ!あぁ───っ!」
胸と後しか弄られてないのに、もうイきそうなくらい乱れてる自分の姿が卑猥で目をそらすと、中の敏感なところを潰すようにグリグリ押され、強い感覚に思わずイってしまった。
「リチェール、目そらすな。どんな顔して俺に抱かれてるかちゃんと見とけ」
「あ、あ……っ見るからぁ……そこ、グリグリしないでぇ……っ!イったから!まってぇ……!」
「可愛い。こんな顔誰にも見せんなよ」
どこが可愛いの。こんな、涙やよだれでぐちゃぐちゃな顔なんて。
それなのに、千は耳元で可愛いと囁き続けた。
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