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余波
リチェールside
千の手を引っ張って部屋に戻ると、オレよりずっと高い身長の男を睨み上げた。
「事故だっての」
どうでもよさそうに言う態度にいらっとする。
雅人さんは純ちゃん一筋ってわかるし、あの時足元にクッションがあった。
事故だってわかる。
わかるけど!
「事故でも嫌なの!キスさせないで!」
そのまま千の胸ぐらを掴んで引き寄せると、背伸びをして噛み付くようにキスをした。
唇を離すと、千はニヤニヤしていて本当に雅人さんとのキスなんて何とも思ってないような態度で悔しい。
オレはすごく嫌なのに!
「ん?終わり?」
さらに煽るように言われむかーっと頭に血が上り千をベットに押し倒した。
千の上に股がり余裕の笑みを浮かべる顔を見下ろした。
「反省してくれないなら、お、お仕置きする!」
大事なシーンで噛んでしまい顔がカーッと熱くなる。
ぶはっと吹き出して笑い余計に恥ずかしくなる。
「お、オレ怒ってるの!笑わないでっ!」
「わかった、わかった。リチェールの好きにしろよ」
クスクス笑いながら頬を撫でられ、あまりにもバカにされた態度に恥ずかしさは増すばかり。
オレは千以外にキスされるの泣きたくなるくらい嫌なのに。千のこの態度はなに?
「千は抵抗しちゃダメだからね!」
「はいはい」
またフッと笑って千が体から力を抜く。
怒りに任せてお仕置きとか千の真似をして言ってみたはいいものの、いざ千の体を目の前にしてどうしていいのかわからずたじろいでしまう。
とりあえず何かしなきゃと、ドキドキしながら千の首筋に舌を這わせた。
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