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訪問者

────── 「むーかーつーくー!!!どう思う雅人!ルリむかつかねぇ!?」 家に帰ってクッションを叩きながら言うと雅人がコラコラと嗜めて笑う。 「まぁでも久瀬先生、生活指導してるし教師サイドからしたらありがたいよ。 勘違いして生徒を殴った先生なんて親御さんの耳に入ったらモンスターペアレントが黙ってないからねぇ」 「そんなの殴った側の自業自得だろ!?」 「まぁねぇ。あの時重なった七海先生や秋元くん問題に比べたらたしかに小バエみたいなもんじゃん。ルリくんが気にしてないならもういいんじゃない?教師だって大人だから間違えることだってあるしね」 「はぁ!?じゃあお前もゴリラの味方なわけ!?」 「俺はいち教師として生徒の許せる心を大切にしたいだけ」   のんきな雅人にまでイライラしてくる! 殴ったんだぜ? ルリの顔を!あの丸太みたいな腕で! 言い返そうとして、ハッとする。 ………ああ、これ、ルリに手を上げられてムカついてるだけだ。 客観的に見たら、たしかに誤解があったわけだしそこまで怒ることでもないのかもしれない。 「……………」 でもムカつくから月城にはチクってやる。 "自分を殴ったゴリラにルリのやつ、自分から引っ付いてベタベタなついてたぜ。むかつく" 明日からは普通にしてやる。だからこれが最後の八つ当たりだと月城に送信した。 これで月城に説教されて、念のため少しでも警戒心を持ってくれたらいい。 送信したメッセージに既読がついて"了解"と短く返信が届く。 それを見てスッキリしてソファに座る雅人の膝に寝転んだ。 「純也、ゴロゴロする前に歯みがいておいでー?大体そのまま寝ちゃうんだから」 雅人が穏やかに微笑んで俺の前髪を指でどかす。 エッチはまだしばらくいやだけど、こういうスキンシップは好きだ。 「んー」 「てかなんか、さっきの今で怒りが落ち着いたようだけどどうしたの?」 …………よくわかるよな。 そんなに顔に出てただろうか。 「まさか千くんにチクってないよね」 「え、チクったけど。なんなら脚色して嫌味付きで」 教師からしたらありがたいくらいなんだろ?と足して言うと、雅人がまじで?と顔をひきつらせた。 「教師からしたらありがたいけど、恋人からしたらたまったもんじゃないよね。殴った相手と仲良くされたらさ。 純也がそんなことしたら俺、普通に乱暴にお前のこと犯しちゃいそー」 ははっと軽く笑う雅人に全く笑えず想像してさぁっと血の気が引く。 「まっ、千くんは俺と違って感情的にならないから大丈夫だろうけど」 「だ、だよな!?」 ガバッと起き上がり雅人の服を掴むと、大丈夫、大丈夫と頭を撫でれた。 明日ルリに一応謝ろう。 ………でもやっぱ、ムカつくから少しくらい怒られろよな。

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