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嘘つきトライアングル

トムside とにかく、リチェールの今後のことやしばらくの寝泊まりのこと話し合うことはたくさんあると、久瀬の家に行くことにした。 リチェールは、本当にいい。大丈夫だからと、なんども拒否していたが、久瀬に引っ張ってもらって連れていった。 リチェールも困ったように笑いながらも強引に押すと相変わらず断ることは苦手らしい。 久瀬は実家暮らしらしく、そこそこ広い一軒家で、お兄さんは結婚して出ていき、ご両親は旅行中らしい。 「アンジェリー、家に来たらいいだろ?兄も出ていって部屋も余ってるし。そろそろ一人暮らししようと思ってたから一緒にこの家を出てもいい」 「ありがとうございます。でも、大丈夫です。元々は一人暮らしだったわけだし、どうにでもなります」 「でも、高校生が保証人なしで家を借りれると思うか?」 「頼れる人は何人かいるので大丈夫ですよー」 「なら俺の家でいいだろ?」 このやりとりもう何回目だ。 リチェールも強情だな。 昔はそんなことなかったのに。 「クゼにアマえたらいいジャン。オマエ、クゼのことキニナルっていってたダロ」 そう言うと、久瀬の顔が分かりやすく明るくなる。 こんな顔してる相手に違う!なんて言えないよなリチェールは。 さっき抱き締めてたし、久瀬はもうリチェールに気持ちを伝えたのかもしれない。 「最近、先生が昔のことで必要以上に負い目を感じでくれてるのが気がかりだってことは言ったかな? だから余計に久瀬先生のお世話になる気はありません」 にっこり笑って上手に優しい言葉で返すリチェールは動じた様子はない。 久瀬がわかりやすく落胆すると、ほんの微かに悲しそうに目線を落としただけで、それ以上のフォローもない。 こんなの、昔のリチェールからは考えられない。 どんどん変わっていくリチェールに、焦りばかりが募っていった。 リチェールはいつだって俺を置き去りにして自分は進んでいくんだ。 たくさん色んなもの持ってるくせに、何一つ俺にはくれずに。 ぎりっと歯を噛んで、焦りのまま口を開いた。 「リチェール、クゼのことスキっていってダロ!」 そう言って、ハッとする。 これはさすがにまずい嘘だと口を覆ったけれどすでに遅く、パアッと久瀬は顔を明るくして、リチェールは顔を強張らせた。

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