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温泉

リチェールside 「今絶対仲直りの流れだったぁ~」 どう足掻いても、今回は許すつもりはないらしい。 「リチェールが二度とバカな気起こさないよう体に教え込まねぇとな」 ふんっと笑ってオレを見下ろす千はこんな状況なのにやっぱりかっこよくて、ドキドキしてしまう。 「せめて、浴衣、汚せないから……その……」 「少しでも反省してるなら、自分で脱げ」 「う……」 千がポケットに入れていた鍵のリモコンで暖房をつけてくれる。 意地悪なこと言ってても、優しさ隠せてませんよ、月城せんせー。 これだから、この人のことをどこまでもどこまでも受け入れてしまう。 浴衣の帯を解いて、ゆっくりと袖を抜く。 恥ずかしさからか、まだ暖まりきってない車内の寒さのせいかぶるっと体が震え、脱いだ浴衣を胸の前でぎゅっと体を隠すように握ってしまう。 他の男の人に裸見られても平気なのに、なんでこのスカイブルーの瞳の前だと恥ずかしくて動けないんだろう。 「おいでリチェール」 差し伸ばされた手にそっと手を重ねると、くいっと優しく引かれ、暖かい胸に包まれた。 「あー、やっぱ他の男が見たと思うとムカつくわ」 ぎゅうっと抱き締めてくれる手に力が入って、オレもそっと抱き締め返す。 千がボソッと耳元で呟いた言葉に胸がきゅっとする。 なんかまるで、好きって言ってくれてるみたい。 思えば、千はオレが七海先生を意識して子供っぽい弁当を持たせたりしても、いつも受け入れてくれた。 不安にさせないよう、いつもいつも千は気遣ってくれてたんだ。 嫌な思いさせてごめんね。 あとでちゃんともう一回謝ろう。 「いたずら好きなバカ猫。どういじめてやろうか?」 「ん……」 首に唇を落とされぴくっと反応してしまう。 千とのエッチはいつもオレばかりが余裕がなくて、恥ずかしいけど、大切にさせれることが優しい手付きひとつひとつから伝わってきて、安心する。 「これとか、見られて恥ずかしくねぇの?普段から弄ってるのまるわかりだと思うけど」 ぺろっと千が胸の突起を舌で撫で、甘い声が漏れた。 千によくいじめられるそこは、ぷっくり主張してピンクに色付いていて、それを千の赤い舌が舐める光景は恥ずかしくて思わず目をそらした。 「んん……っ千が、そこばっか…ん…いじるからじゃん……っ」 「俺のだからな」 当たり前だろと吐き捨て、ちゅっと強く吸われた。 「あぅっ」 弄られてるのは胸なのに、もう熱が中心に集まって、頭がぼやぼやしていく。 それなのに、胸ばかりを指で転がしたり、舐めたり吸ったりするばかりで刺激が足りなくもどかしい。 ……いつもなら、噛んだりしてくるのに……。 胸がじんじんして、苦しい。 舐められるのも、指できゅってされるのも気持ちいいけど、足りない。 「せ、せん……もっと……」 強くして…と恥ずかしさで小さくなる声を絞り出した。 それなのに千は顔をあげ無情に微笑んだ。 「ここばっか弄られんのいやなんだろ?」 「へ……?」 惚けた頭で見上げると、千はそのまま胸を触る手を止め、オレの自身に口をつけた。 「あ……っそれ、やだ……っ」   口淫は何度されてもなれなかった。 だって、ずっと挿られるばかりで、されたことなかったから。 嫌だといっても、やめてくれるはずもなく、千は先端をちゅっと吸う。 「んっ」 電気が走ったみたいに体が跳ねた。 やだ……胸は? うずいて仕方がないそこに、そろっと手を伸ばす。 少し、だけ。 自分でつまもうと、指に力を入れようとした瞬間、その手を捕まれギクッと心臓が跳ねる。 「あ……あの……」 不安な気持ちのまま千を見ると、器用に浴衣の帯でオレの両手を後ろ手に縛った。 「え……せ、千……?」 「もう俺としてて、縛るくらいは怖くねぇだろ」 優しくオレの頬を撫でて千が妖艶に微笑んだ。 こんなに大切にされて怖いはずなんてない。

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