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そしてキミは

「オレのスヌード~~~」 「リチェール。しつこい」 家について風呂から上がっても、相当ショックだったようで、羊のクッションに顔を埋めて中々機嫌はなおらない。 「ねぇ今しつこいって言ったー?」 「ほら、髪もちゃんと乾かせよ」 「しつこいって言ったでしょー?ねー?」 ねぇねぇと、ムッとした顔で詰め寄ってくるリチェールにちゅっと唇にキスをした。 一瞬で顔を赤くして、なにか言おうと口を開き、悔しそうに飲み込んで、こてん、と俺に寄り掛かってくる。 「もう、千ちゅーさえしたらオレの機嫌が直るって思ってるでしょー?」 ぐりぐりと胸に顔をすり寄せてきて、実際こんなことで機嫌がなおるらしい。 来年の冬はもっといいものを買ってやろう。 今それを口にしたらそういう問題じゃないとまた怒るだろうから言わないけど。 「いい加減機嫌直せよ。何日俺がお預けくらってると思ってんの?」 抱き上げて膝にのせて、額と額をくっつけた。 最後にしたのは、リチェールが記憶をなくして自暴自棄になっていて手酷く抱いた時だ。 あれでリチェールがまた俺との行為さえ怖いと思ってしまったら、どうしようと今更ながらに焦っていた。 リチェールが怖いなら勿論無理矢理になんてしたいと思わないけど、許してくれるなら今すぐにでも服を脱がせて全身を愛したかった。 リチェールは真っ赤になって俯く。 「やっぱりまだいや?」 「いや……って、いうか……」 ごにょごにょと言葉を濁しながら探るようにちらっと俺を見上げる。 「千、オレとしてもイけないんじゃない?」 「は?」 「だってこの間オレがバカなこと言って千を怒らせようとしたとき千はいけなかったし……」 あんな状況でいけるわけないだろ。あんなに真っ青に怯えきってやつを押さえつけてヤる趣味は俺にはないだけで。 リチェールのことをいじめたいとも思うし、泣かせたいとも思う。 でも傷付けたり、怖がらせたいわけじゃない。 「リチェールが気持ち良さそうに喘いでたらいけるよ。怖くないなら、今すぐ証明できるけど?」 顔を覗きこんで笑うと、赤くなった顔を隠すように首に手を回して抱き付いてきた。 「ベットにいこう……オレも千に触られたい」 緊張で微かに震えてる小さな声に、了解、と返事をして耳にキスをした。

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