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「じゃあ、オレは帰るけど。何かあったら昨日渡した名刺の携帯番号の方にかけてね」 3人で分担して持った荷物を拾いリビングの隅に置くと、くるりと僕の方を見て言うルリさんの言葉に思わず縋り付くそうなる。 悪い人じゃないってことはわかるけど、どうしても四季さんと二人っきりって言う空間はどうにも覚悟がいる。 「てかそもそも、携帯持ってないでしょ?事故した時の持ち物、財布と遺書だけだったし」 四季さんの言葉にギクっと固まってしまう。 携帯を持ってないことを言われたことじゃなくて、遺書のことをあまりほじくり返さないでほしい。 「ありゃ死活問題じゃん。オレ、仕事用とプライベート用で2台スマホあるからプライベートの方しばらく貸そっか?」 躊躇いもせずスルッとスマホを差し出してきたルリさんに思わずビクッとしてしまう。 「いえ、大丈夫です。連絡を取る相手もいないので」 この人の優しさって、ちょっといきすぎてない? 普通易々とスマホって渡せるもの? 「ルリ、明日の俺のスケジュール的にどっか1、2時間お使い頼める時間ある?」 「午前中から夕方までのドラマの撮影中、ついてなくていいならガッツリ抜けれるけど」 「じゃあ悪いけど、瑞稀つれてスマホ契約してきて」 「えっ」 仕事の話が始まったのかなって思ってたら、まだ僕のスマホの話が続いてて、つい声をあげてしまう。 いやいや連絡とる人とかいないんだってば。 「い、いりません!携帯って毎月お金もかかるし高いでしょ!?」 「大した金額じゃないよ。一緒に暮らすのに連絡取れないと俺が不便だから」 「それならすぐにでも出て行きますって!」 「あ、それ言っちゃう?ルリ、こいつの保護者か警察に今すぐ連絡して。自殺しようとしてますって」 「OK」 「わー!ごめんなさい!うそです!!」 四季さんの言葉ですぐスマホを取り出したルリさんを慌てて止める。 何今の流れるようなコンビネーション。 ルリさんって敵なのか味方なのかよくわかんない。ちょっと意地悪入ってる気がする。 「で、清十郎。瑞稀くんの用のスマホだけど、キャリアと機種の指定ある?」 「あると思う?あ。でも瑞稀には選ばせるなよ。1番安いゴミみたいな性能の機種選ぶから。ルリが選んどいて」 「はーい。最新機種ね。瑞稀くん使い方もわからないだろうから教えやすいしオレと同じ機種にするね。後今調べてみたら代理での携帯契約って委任状とかいるみたいだから、ダウンロードして明日持ってくるから朝一で書いてね」 「ん」 「じゃあ明日は朝7時に迎えに来るから。瑞稀くんはショップに行くのは10時過ぎになると思うからそのくらいに改めて迎えに来るねー。じゃ、オレ今度こそ帰るね」 僕のスマホ問題が何も言う暇もなく目の前であっという間に決まって、腕時計を見るとルリさんは少し慌てたように、玄関に向かってしまった。 「清十郎。瑞稀くんをあんまり困らせるなよ」 「ん」 「瑞稀くん。困ったことがあったらちゃんと遠慮しないで口に出すんだよ」 「え、あ、はい」 「じゃあ、二人とも仲良くね〜。お疲れ様」 笑顔でバイバイと手を振って行ってしまったルリさんを見送り、室内に静寂が籠る。 ああ、もう。 早速何喋っていいかわからないし。

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