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病院で風呂入れなかったこと気にしてたし、瑞稀も早く入りたいだろうから、15分ほどで風呂から上がってリビングに戻ると、男3人で運んだ大荷物は綺麗さっぱり無くなっていた。
荷物の整理を任せたのは、何もしないことの方が居心地悪そうだったことと、下着とか俺に触られたくたいものもあるだろうと思って頼んだけど、これは失敗だったかも。
怪我も痛むだろうし、重たいものは当然俺が運ぶつもりだったのに。
悪化してたらどうしよう。
それを聞いてみても、状態がどうであれ、「いえ、大丈夫です」って答える姿が容易に思い浮かぶ。
「瑞稀?風呂上がったよ。次どうぞ」
部屋のドアをノックすると、すぐにドアが開いた。
「早かったですね。すみません、僕のせいで急がせてしまいましたか?」
「そんなことないよ。俺はこのまま寝るけど、瑞稀もお風呂終わったら早く寝なね」
「はい。色々とありがとうございます」
「ふっ」
ぺこりと深く下げられた頭に思わず笑いが溢れてしまった。
この家に来たのも、全部が不本意だろうにそうした原因の俺にありがとうって頭下げるんだ。
笑った俺を、不思議そうに瑞稀が見上げる。
「瑞稀はいい子だね」
くしゃくしゃ艶やかな黒髪を撫でると、少しだけ頬を赤くしてやんわりと手を離されてしまった。
中高生の男が頭撫でられるとか、そりゃ普通に嫌か。
「だから、僕二日お風呂入ってないからばっちぃんですって。お風呂上がりの四季さんが触っちゃダメです」
気にするのはそっち?
馬鹿だなぁ。全然臭くも汚くもないのに。
なんか、こうも健気だと構い倒したくなる。
もちろん、余計に嫌われるだろうからやらないけど。
「そんなこと気にしないってば。とりあえず、そんなに気になるなら早くお風呂行ってスッキリしておいで」
「すみません。お言葉に甘えて、お風呂お借りします」
「ん。すみませんとか、借りるとかそう言う言葉今後禁止ね。うちのものは自分のものだって思えってさっき言ったろ?」
「う。いや、でも…」
「イヤでも、デモでもない。じゃあ俺寝るね。おやすみ」
言い逃げのように寝室に向かうと、後ろでまだ、あ、あ、あ、っとあの有名な銭湯のアニメのあのキャラのような焦った声が聞こえる。
蛙でも食べたら少しは自分のこと喋れるのかな。
なんてね。
「えと、ありがとうございます。それとおやすみなさい」
そんなくだらないことを考えてると、後ろから聞こえた律儀な挨拶に、振り返ってもう一度、おやすみを返した。
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