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第193話 濡れて艷めく秋の日に20※
「いいよ。君は髪でも洗ってて」
智也は、ベルトを触ろうとするその悪戯な手を、軽くペシリと叩いて払い除けると、バックルを外しスラックスのホックも外した。
祥悟は面白がっている。
こちらの気持ちも知らないで、本当に厄介で無邪気な天使だ。
ファスナーをおろして、スラックスを脱ぐ。
ちらっと祥悟の方を見てみると、彼は既に下着も脱ぎ捨てて、こちらに背を向け無防備に髪の毛を洗っていた。
斜め後ろから見る祥悟の小さな白い尻に、目が吸い寄せられる。
背中から腰にかけての美しいライン。その下に続く滑らかな双球は、膨らみの途中がきゅっと窪んでいて、まだ少年だった頃に比べて雄味が増している。
あれからもう、6年が過ぎたのだ。
智也は湯気の向こうに見える彼の美しい肢体を見つめ、拳をぎゅっと握り締めた。
触れてみたい。
あの手触りの良さそうな肌に。
引き締まってはいるが、柔らかくて弾力のありそうなあの美しい尻に。
喉から手が出そうなほどに、彼が欲しい。
急激に込み上げてきた欲情に、息が詰まる。
でも欲しいのは、彼の身体だけじゃない。
本当に欲しいのは、心なのだ。
智也は無理やり視線を引き剥がすようにして、手に持ったベルトとスラックスを脱衣場に置くために、祥悟に背を向けた。
「なあ、智也?」
スラックスを棚に引っ掛け、そっとそのまま出て行こうかと一瞬迷った。それを見透かしたように浴室から呼び止められる。
……逃がしてくれる気は、ないらしいね。
智也は首を竦め、再び浴室に戻った。
「なんだい?」
「俺の身体ってさ、男として魅力、ある?」
髪の毛を泡だらけにして、垂れた髪の隙間からちらっと流し目をよこす。智也は出来るだけ、首から下を見ないようにして
「どうしてそれを、俺に聞くの?君が遊んでる女の子たちは、何て言ってるんだい?」
祥悟はんーっと小首を傾げた。
「エロい身体だってさ。オスっぽくねえけど、綺麗で扇情的。見てると撫で回したくなるってさ」
「ふふ。それは…すごい言われようだね」
祥悟は髪を洗う手をぴたっと止め、くるっと身体ごと振り返った。
「だろ?ひでえよな。オスっぽくないって何だっつーの」
瞬間、思わずちらっと視線を走らせてしまった。
祥悟の何も身につけていない下腹部に。
彼の髪の毛同様、色素の薄い柔らかそうなアンダーヘアに包まれた、彼の雄の象徴。
智也は焦って目を逸らした。
ダメだ。見てはいけない。
劣情が止まらなくなる。
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