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第196話 濡れて艷めく秋の日に23

顔をあげてみると、窓の外を見つめたままの祥悟の横顔が目に入った。 「うん…まあ、それなりに、ね」 曖昧に返事を濁す。祥悟は夢から覚めたような顔で、ゆっくりとこちらを見下ろして 「ふーん。やっぱ、おまえもおんなじかよ。俺さ、荒れてたって言ったじゃん?なんか最近満たされなくってさ、他の女抱いても。だから相手、女じゃない方がいいのかも?って思ったんだよね」 「……え?」 智也が驚いて目を見張ると、祥悟はバツが悪そうに目を逸らした。 「や。だってさ、相手が女だからあいつとダブってしんどいのかも?って思ったんだ」 「祥、君……それって…」 「だからさ。そっち系のが集まる店に行ってみたんだ。ナンパしにさ」 ……ちょ、っと、なに、それ 祥悟の投げてよこした次の爆弾発言に、智也は息を飲んだ。 「どっ、どうして、そんな、」 「俺、女しか経験ないけどな。可愛い男の子だったら抱けるかも?って物色してたらさ、なんでか知らねえけど、ガタイのいい男たちに囲まれてさ。逆にナンパされまくっちまったの」 ……あ……当たり前だからっ 祥悟はあくまで自分が男役のつもりだろうが、その見てくれでそんな場所をうろうろしたら、群がってくるのは絶対に…… 「そ、それで、どうしたの?」 思わず声が上擦った。祥悟はひょいっと首を竦めて 「別に?どうもしねえし」 「そうか。じゃあ、諦めて帰ってきたんだね?」 智也がほっと胸を撫で下ろすと、祥悟はうーっと小さく唸ってから 「んー……。とりあえず一番好みのヤツとホテルに行ってみた」 「……っ?…えええっ?」 思わず叫んで湯船から立ちあがっていた。 ……な、何やってるのっ、祥! 信じられない。 女じゃダメだから男で?そんな……そんな馬鹿な! 智也の剣幕に、祥悟は驚いて目を丸くして 「な、なに喚いてんのさ?つーか、おまえ、ちんこ丸見えだけど?」 「そんなこと、どうでもいいよ!祥、ホテルに行ったの?男と?」 「んー。一応ね」 「寝たの?そいつと」 祥悟が呆気に取られているのは分かってる。 でも、詰問せずにはいられなかった。 ナンパされてホテルへ。 その相手は、きっとネコじゃない、タチだ。 ということは……祥悟は、男に抱かれたのか。 自分以外の、男に。

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