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第203話 濡れて艷めく秋の日に30
「なあ、もうしねえのかよ?」
祥悟が腕の中で焦れたように身体を揺らす。智也はため息をついて、彼を抱えたまま、浴槽に完全に尻を落とした。
「……祥……ちょっと、待ってね」
「待てねえっつの。おまえとエロいキスしたから、もうこんななっちまってんのにさ」
言いながら、こちらの手を掴んでぐいぐい引っ張ると、股間に持っていき
「な?デカくなっちゃっただろ?」
脱力してしまって抵抗出来ない手を、自分のモノに擦りつける。
たしかに、祥悟のソコは元気いっぱいそそり立っていた。手を上から握るようにしてくるから、その大きさも形も感触が丸分かりだ。
自分のソレも、さっきまでこんな風に昂りきっていたはずだ。祥悟の仰天告白を聞かされるまでは。
「なあ、責任取れっつーの。おまえがエロくしたんじゃん」
祥悟は無邪気にそう言い放つと、握ったこちらの手を促すように動かし始めた。
……責任。そうだよね。いや、責任……?
ナンパでホテルに行った男とも凪義とも、祥悟はもう寝てるのだと思っていた。激しい嫉妬に心が破れそうだった。だから、煽られてその気になってしまったのだ。
でも……。
祥悟は無傷だった。多少、変なことはされたようだが、あの小さな窄まりは無事だったのだ。
驚きが引いていくと、安堵の気持ちが胸いっぱいに広がっていく。
祥悟は、まだ、誰とも寝ていない。
……男とは。
智也は急に可笑しくなってきて、掠れた笑い声をあげた。
祥悟の手がピタリと止まる。
眉をきゅっと寄せ、怪訝そうに顔を見上げてきた。
「なに笑ってんのさ。あ、俺のが小さいとか、思ってんだろ?」
「ふふふ。そんなこと、思ってないよ」
祥悟が拗ねるのは分かっていたが、漏れ出る笑いが止まらない。案の定、祥悟はぷぅっと頬をふくらませ
「んじゃ笑うな。バカ智也」
「ふふふ。そうだよね。俺は馬鹿だよね」
祥悟は呆れ顔になって
「おまえってほんと、変な奴。しねえならもういいし。のぼせるから出る」
怒って立ち上がろうとする祥悟を、ぎゅっと抱き締めた。
「待って。そこの責任取るよ」
「は?」
「君のここ、そのままじゃ歩きにくいよね」
智也はそう言って、手を伸ばして、今度は自分の意思で祥悟のペニスに触れた。
不意打ちにビクッとする祥悟に微笑んで
「手でしても、いいかい?」
祥悟はまだ半分不貞腐れた顔で、コクンと頷いた。
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