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第205話 濡れて艷めく秋の日に32※

「ん…。ん、……っん、んっく」 祥悟の鼻から漏れる、微かな吐息が甘い。 自分の腕にきゅっと縋りつくようにして、キスと手淫に感じきって震える姿が可愛い。 懸命に快感を追う彼の表情は、色っぽいのに普段より少し幼く見えた。 くちゅっくちゅっと艶かしい水音が、手から溢れ出る。祥悟の雄は昂りきって、もう先っぽからとろりとした蜜を溢れさせていた。 時折、口づけをほどいて、彼の表情と自分の手の中で悶えるペニスを、そっと盗み見る。 しなやかな身体を持つこの美しい青年は、欲情が高まるにつれて、肌をうっすらと染め、匂うような色香を身にまとっていく。 その変化を起こさせているのは自分なのだと思うだけで、智也自身も煽られて高揚していった。 「…っ、どう?祥…感じる?気持ち、いい?」 「んっは…あぁ……っ」 押し殺し切れずに零れる祥悟の声は、切羽詰まってせつなげだ。まるで救いを求めるように壁を引っ掻き、シャワーフックを手探りで見つけてぎゅっと掴み締める。 小刻みな身体の震えが大きくなった。 もう絶頂が近いのだろう。 張り詰めた花芯の括れの部分を、ちょっとねちっこく弄り続けると、あっ…あっと鳴く声が忙しなくなっていく。 壁にぴったりと背中を張り付かせた彼の、無防備な胸に顔を埋める。 薄い胸板に、ほんのりと色づいた小さな胸飾り。 舌を出してぺろっと下から舐め上げると、祥悟はピクンっと震えて、んくぅ…っと愛らしく鳴いた。 「ここ…すごく、感じ、るんだね。敏感だな、祥は」 「…っうっさい、…ぁっん」 悔しそうに悪態をつこうとして失敗し、祥悟はいっそう愛らしい声をあげた。 ……可愛い。 智也は嬉しくなって、今度は小さな尖りを唇で挟み、舌をねっとりと絡めてみた。 「んぁ…は……ぁ」 片手でフックを掴み締めたまま、堪えきれない喘ぎを漏らして仰け反った。それがかえって胸をいっそう突き出す形になって、まるで好きにしてくださいと言わんばかりだ。 智也は口に含んだ果実を、じゅっと吸い上げた。 「ぁう…っあ、ぁあ……っ」 壁から伝い落ちるシャワーの湯が、祥悟の柔らかい髪の毛を絶えず濡らし続けていた。 まるでいやいやをするように首を振った瞬間、雫が辺りに飛び散った。その姿は野生の獣が浴びた水をブルブルと弾く様に似て、荒々しくも美しい。 自分の心をこんなにも捉えて離さないのは、祥悟のこういう躍動感溢れる美しさなのだ。 「祥……祥……」 智也は熱に浮かされたように名を呼びながら、腰を突き出し、既に暴発寸前の自分のモノと彼の昂りを寄せ合わせて握った。 「あっはぁ……っあぁっぅ」 火傷しそうな2つの熱が、手の中で重なり密着する。 「…っ、祥、い…っ一緒に…っ」 その続きは掠れて、もう声にならなかった。 だが、陶然とした表情を浮かべうっとりと開いた祥悟の目が、言いたいことを察してせつなく揺れる。 ずり落ちてしまいそうな彼の身体を、支えるようにして壁に押さえつけ、智也は握り込んだ2人分の熱を擦り合わせ扱き始めた。 感じすぎて内腿が引き攣る。 ……ああ……すごい…っっ 手の動きに合わせて、互いの腰が淫らに揺れ動く。 祥悟のペニスの感触に煽られて、急激に熱が上がっていく。 不意に祥悟の手が伸びてきて、肩をガシッと掴まれた。爪が食い込むほどの力で、しがみついてくる。 ……あ、ダメだっ、イく……っ

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