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第217話 秋艶9※

互いの熱い吐息を重ね合い、何度も角度を変えながら溶けていく。 祥悟の鼻から漏れる微かな喘ぎは、徐々にせつなく忙しなくなっていった。 その声に煽られて、下腹だけでなく全身が熱を帯びる。 祥悟とのキスは気持ちいい。 よすぎて気が遠くなりそうだ。 頭の中が蕩けて白く霞む。この蜜を味わう悦び以外、何も考えたくない。 考えられない。 智也は右手をそろそろと下に伸ばしていった。 自分のソコが滾り始めたのはわかっている。 祥悟のは……どうだろう。 同じように、キスだけで昂ってくれているだろうか。 薄い布越しに腹をまさぐり、更に下へと滑らせていく。たどり着いたソコはピッチリしたパンツ越しにもわかるほど熱くなっていた。肌に吸い付くような薄い布地のパンツの上から、その熱を手のひらで覆う。 ……感じてくれてる……。 祥悟のソコは形を変えていた。キスだけで勃起してくれたのだ。それは心が震えるほどの歓びだった。 もっともっと、感じさせたい。 一緒に気持ちよくなって欲しい。 智也がソコを包む指に力を込めようとした時、背中に回っていた彼の手が、グイッとシャツを引っ張った。 「…っ」 慌てて口づけをほどく。祥悟は、はぁ……っとせつなげに息を吐き出すと 「タイムアップ。そろそろ時間だし」 掠れた声で囁いて苦笑した。 ……時間?……あ……そうか……。 まだ仕事中なのだ。 のぼせきっていた頭の中が、一気にクリアになる。 サカっている場合じゃない。 今は撮影合間の休憩時間なのだ。 「あ……ああ、ごめん」 焦って身を起こそうとすると、祥悟の手が伸びてきて、股間に触れた。思わずビクッとなる。 「おまえのキス、エロすぎ。うっかりその気になっちゃったじゃん」 触れた指先がさわさわと動く。 智也はゴクリと唾を飲み込んだ。 祥悟の手首を掴んで、逆に押し付けたい衝動を必死に堪えてソコから引き剥がした。 「こら。ダメだよ」 祥悟はくすくす笑いながら、もう一方の手を伸ばしてきて、こちらの唇に指先を押し当てた。 「すげえ残念。でもさ、おかげで緊張、ほぐれたかも」 「え?」 智也が目を見張ると、祥悟は指先で唇を撫でながら、ちょっとバツが悪そうに目を逸らし 「ガラにもなくさ、今日はちょっとビビってたんだよね、これでも。なんか落ち着かなくてずっとイライラしてた」 ……え。そ…そうなのか? そんな素振りは微塵も感じなかった。 意外な告白に唖然とする。 「おまえのキス。俺の精神安定剤かも」 そう言って、またくすくす笑う祥悟の横顔が眩しくて、智也は思わず目を細めた。

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