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第235話 秋艶24※

「また触って欲しいの?ここに。我慢、出来ない?」 智也はパンツの上から、そっとふくらみに手を置いた。 「……別に、智也がいやならいいけどさ」 「嫌じゃないよ。ただ…触るだけじゃ、済まなくなるかもしれないよ?」 祥悟のソコは既に熱を持って脈打ってる。若いだけあって、元気いっぱいに張りつめていた。 そっと触れるだけじゃもどかしいのだろう。祥悟は切羽詰まった目を恨めしげに向けてきて 「んー。尻、突っ込むってやつ?」 「そうだね。今日は俺もちょっと興奮しちゃってるから、歯止め、効かなくなるかも」 祥悟がちらっと視線をこちらの股間に向けた。 好奇心はある。 でもやっぱり不安なのだろう。 当たり前だ。祥悟はゲイじゃない。 さっき、鏡の中の自分の顔と対峙したせいで、少し冷静になれた。あんな目をして抑えきれずに祥悟を抱いてしまったら、もう手放したくなくなる。 もっともっと祥悟が欲しくて、彼が望まない時でも抱いてしまいたくなるかもしれない。 同じなのだ。こちらの意志を無視して、強引に迫ってきた城嶋と。あの熱っぽい欲情を湛えた眼差しと、さっきの自分は同じ目をしていた。 祥悟には、片想いの女性がいる。やるせなさを紛らわす為に、遊びの恋をしているだけで、自分とのこれもその延長線上でしかない。 祥悟が望むことなら、出来る限り応えてやりたい。 でも自分の狂おしい思慕を、剥き出しにしちゃいけない。 祥悟が静かに顔をあげた。 「いいよ。智也だったらさ、怖くねえし」 智也は目を見開いた。祥悟はちょっと自信なさげに小首を傾げ、 「ナンパしてさ、変なおっさんにいろいろされたろ?流石にちょっとビビったんだよね。抱かれんのは別にいいけど、知らねえ相手はちょっとやだなーって。でもさ、おまえだったらきっと優しいじゃん?絶対に俺にひでえことしねえし」 「…………」 その信頼は…泣きたいくらい嬉しい。 あまりにも真っ直ぐ向けられたから、心臓が止まりそうになったが。 「もちろん、しないよ。君が嫌なら、すぐにやめる」 思わず掠れた声が出て、智也は慌てて咳払いをした。 「あ…でも、ちょっと痛いかもしれないよ」 祥悟は苦笑いして首を竦め 「それは仕方ねえし。もともと突っ込むとこじゃないもんな」 「出来るだけ、優しくほぐすよ。無理に入れたりは、しないから」 「ん。じゃあ、抱いてもいいよ。歯止め、きかなくなったらさ」 智也は空いてる方の手を伸ばし、祥悟の頬にそっと触れた。鼻の奥がツンとして、急いで瞬きをする。 ……ありがとう、祥。俺を信頼してくれて。大丈夫だよ。絶対に酷いことは、しないから。

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