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第240話 秋艶29※
この状況でいまさらだが、自分の経験値のなさが痛い。
かといって、他で経験などしたくはなかったのだから、仕方がないのだ。
祥悟を不安にさせないように、智也は必死でポーカーフェイスを装った。
「祥。脚を俺の肩に乗せていいから、もうちょっと力を抜けるかい?」
「んくぅ…っん」
仔犬のような可愛い声で同意すると、祥悟は自分でもちあげていた脚を肩に乗せてきた。
思った通りだ。急に怖ばっていた中が柔らかく弛緩する。指の締め付けがだいぶ楽になった。
智也は慎重に指を抜き差ししてみた。熱い粘膜が絡みついて、追いかけてくる。思い切って、中指を揃えて入口に押し当ててみた。
……いや。やっぱり無理だろ、これ。
少し緩みはしたが、どう考えてももう1本入る余地はない。諦めて、人差し指だけまた奥へとゆっくり挿入していった。
「んんんぅ……っんぅ…」
祥悟が首を仰け反らせて呻く。見られるのを恥ずかしがっていたが、もはやそこを隠す余裕もないらしい。さっきまでパンパンに張り詰めていた祥悟のペニスは、少し勢いをなくして白い下腹にくたっと寄りかかっていた。
……可愛い……。
智也は思わずそれに目が釘付けになった。元気いっぱいのソコも愛おしかったが、くったりしたソコも愛らしくて、握って優しく扱いてやりたくなる。
智也は祥悟の表情をちらちらと確認しながら、空いている方の手で、そっとペニスを握り込んだ。
「…っああっ」
祥悟がびくんっと震えて声をあげた。目を大きく見開き、こちらに視線を向けてくる。
その目を見て、智也は息を呑んだ。
泣いている。
綺麗な緑がかった瞳が真っ赤だ。
目をぎゅっと瞑っていたから気づかなかった。
目尻から一筋、ぽろんと涙が伝い落ちる。
「祥っ、い、痛かったのかい!?あ…あ、ごめんっ気づかなくて」
智也は焦って両手をモノから離し、伸び上がって祥悟の顔を覗き込んだ。
……我慢していたのか。ああ……失敗した。
泣くほど痛いなんて、気づかなかった。
オイル塗れの手で触れそうになって、慌ててもう一方の手で頬に触れる。
祥悟はびっくりしたような目のまま小さく呟いた。
「だいじょぶ、だし」
「でも涙が。ああ…ほんとごめん。辛かったよね」
「痛くねえって。や、痛いけどさ、ほんと、大丈夫だってば」
「我慢しなくてよかったんだよ。言ってくれればよかったのに」
弱々しく強がりを言う祥悟の声がせつなくて、智也はその細い身体をぐいっと抱き締めた。
「ちょ、くるし、な、智也、ほんとに」
「もうやめておこう。祥。君を傷つけそうで怖いよ」
智也の言葉に、祥悟は急に黙り込んだ。肩に担いだ彼の両脚を外して、もう一度抱き締める。
「君の、萎えてしまってる。辛いからだろう?」
祥悟の手が背中にまわり、抱き返してくる。
「そりゃさ、多少は苦しいけど。それより智也、おまえがもう、無理なんだろ?」
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