244 / 349
第244話 秋艶33※
夢だったのだとは、すぐに理解した。
だが、あまりにも生々しい淫夢で、しかもその相手が、自分に覆いかぶさって心配そうに顔を覗き込んできているから、なかなか現実に戻れない。
「ぁ……」
「おまえ、大丈夫?すっげーうなされてたし。汗びっしょりじゃん」
祥悟の息が顔にかかる。
さっきの夢の中の彼の顔と重なる。
智也はごくりと唾を飲み込むと
「あ……ああ、大丈夫だ。ちょっと、変な夢見て…」
祥悟はまだ気遣わしげな目のまま、小首を傾げ、手を伸ばしてくる。咄嗟に思わず目を瞑ると、その手が前髪をかき分けて額に置かれた。
「熱は……ねえよな。夢でうなされてただけか」
智也は目を開き、無言で頷いた。
祥悟はようやくほっとしたようにため息をつき
「はぁ~。もう、びっくりさせんなよな。なんかうるせえって目覚ましたら、おまえ、すっげ荒い呼吸してんだもん。苦しそうにうなってるしさ、起こしても起きねえし、マジでビビった」
そうか。自分は苦しそうだったのか。
夢の中ではあんなにも……幸せだったのに。
……というか……うわぁ……。
本人がすぐ横で眠っているのに、なんて夢を見てしまったのだろう。
欲求不満にも程がある。
智也はそっと、自分の股間を手で探ってみた。
大丈夫。何ともない。いや、朝の生理現象は起きているが、うっかり粗相はしていなかった。
「今……何時?」
「んー。6時過ぎ」
「そっか……。まだちょっと早かったね。起こして……ごめん」
祥悟はまだ覆いかぶさったままで、額に置いた手を頬へと滑らせ
「上書き、足んねえんだろ?おまえさ、正直に言えよ。やっぱちんことか触られたんだな?あいつに」
智也はきょとんと彼の目を見つめた。
……えっと、なに?なんの事だ?
何を言ってるのか咄嗟に分からず、答えないでいると、祥悟はむすっとした顔になって舌打ちして
「ちっ。あの下衆野郎、やっぱ早めに追い出しとくんだった。他にも被害出ねえうちに手、打つか」
「祥?それって……」
祥悟はもぞもぞと動いて、こちらの腿の上に完全に馬なりになると
「まだ時間あんなら、上書きの続きな。やっぱ昨夜やっときゃよかったし」
独り納得して意味のわからない言葉を呟くと、急に伸びてきた手がこちらの股間を鷲掴みにした。
「っっっ」
寝間着代わりの薄手のスウェットパンツと下着の上から、生理現象で少し硬くなったソコをいきなり握られた。
びっくりして声も出ず、ビクンっと身体が跳ねる。
じっと見下ろしてくる祥悟は、何故かちょっと楽しげな目になって
「朝勃ちしてんじゃん」
ふふんっと笑うと、ウエストゴムに手をかけ、下着毎スウェットをくるんと剥いてしまった。
……ちょ、っと、待って、祥
ともだちにシェアしよう!